ポテンシャルはあったとしても、それを会社の外で試す機会がなければ、自覚のしようがない。しかし、60日間のプログラムの中で、キャリアの棚卸しをし、複業デビューすることで、ほとんどのミドルが「社外でも通用する力」を自覚する。
「『あなたのここが強みですよ』などと人から言われても、本当かいな、と疑問は残り続けると思います。それが初めて払拭されるのが、人に感謝されるタイミングです。実際にそのサービスを無償でもいいから提供してみて、そこで初めて他人からのフィードバックを得ることによって自信になるのです。ここが変わるタイミングで、こうなるとあとは早いです。もりもりと自分で開拓し始めるなど、火がつくのです」
ライフシフトラボは、7月からは複業に加えて「転職コース」「独立起業コース」「資格活用コース」を新設し、幅広いニーズに応える体制になった。目指すゴールは違っていても、キャリアを棚卸しし、パーソナルコーチの支援を受けながら「社外でも戦える武器」を磨くという本質部分は同じである。
限定された分野で捉えると不毛な結果を招きかねない
鳥取県が導入したベネッセのUdemyと、ライフシフトラボを紹介したが、リスキリングへの取り組みの幅は広い、と言えそうだ。また、国の方針が出たことで、これからもさまざまな学びの場が生まれてくることは間違いない。
岸田首相の所信表明演説では、リスキリングは「成長分野に移動するための学び直しへの支援」という文脈で語られた。つまり、主たるゴールとしていわゆるDX人材の育成が想定されているように思われる。ただ、そのように限定された分野での学び直しと捉えてしまうと不毛な結果を招きかねないのではないかと思う。
ミドル層の多くが、リスキリングの対象から外れる、と考えられるからだ。仮に45歳からプログラミングを始めたところで、伸び代は少ない。DX人材の育成は言うまでもなく重要だが、それは別の手段で戦略構築をするべきだろう。
リスキリングは「DX人材の育成」とは切り離して考えたほうがいいというのは、筆者の個人的な思いだ。特にミドル層の再活性化を視野に入れるのであれば、未知のスキル習得に取り組むよりも、今持っている武器で戦うほうが効果的だし、スピードも速い。また、社会への還元もしやすいだろう。それこそがミドルのリスキリングではないかと思うのだが、いかがだろうか。
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