経営に近い立場に「出戻り」に思うこと
このような背景もあり、個人としては転職をして外の景色を見ることも重要だと考えてはいるものの、それでも経営に近い立場になってみると、思うことは少し違うようだ。
「自分は一度外に出ることによって、イタンジのよさを認識しました。例えば、こんなに自由でスピーディーな会社ってほかにはないな、とか。
でも、マネジメントする側の観点で言えば、やっぱり『社員が出ていかないに越したことはない』んです。出て行くのはなにかしら会社に対して満足していない部分があるということですからね。なので、辞めたいと言う人には『絶対うちのほうがいい環境だよ』とは伝えています。
ただ、若いメンバーが『外に出てみたい』と思うのも、当然の欲求だと考えていて。好奇心もあるし、意欲もあるわけですから。だからこそ、上に立つ者としては『外に出なくても、外を知る機会』をつくれたらいいと思っています。そこは今後の課題ですね」
そういう気持ちもあり、現在は会社と社員の信頼関係を築くことや、社員の帰属意識を高めることにも注力しているという。
「日々のコミュニケーションをマメに取ったり、チームの雰囲気を意識したり、会社として何かを達成したときに、個人の能力をきちんと評価するようにしています。『会社が個人を必要としている』という意思表示って、とても大事なことだと思うんですよ」
なお、そのような日々の努力が影響したのか、イタンジでは出戻りの事例も少しずつ増えているようだ。
「すでに出戻りしてきた社員がいたり、ほかにも今後、退職して3カ月で戻ってくる社員がいます。自分と同じように、辞めた後も同僚とつながっていたみたいですね。こちらとしては出戻りは大歓迎ですし、今後も少しずつ事例が増えていくと思います」
若い頃はエンジニアとしてのキャリアや自身の器用貧乏さに悩んだこともあった永嶋さんだが、「何でも屋」ゆえに身についたプロジェクトマネジメントの能力が、結果的に今の彼を支えている。
少なくない人が経験する悩みを抱き、自身のキャリアに昇華した彼だからこそ、一度会社を離れた若い社員たちの気持ちを理解したうえで、爽やかな笑顔で受け入れていくのだろう。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら