激増する「不起訴の理由が不明」記事が大問題な訳 凶悪犯罪でも真相が水面下に潜ってしまう
不起訴はベタ記事の扱いが目立ち、ネットに配信されていないケースも多い。まずは、全体の傾向をつかむため次のグラフを見てほしい。新聞各紙を横断検索できるデータベース・G-Searchを使って調べた結果である。
検索キーワードは「地検」「不起訴」「理由」「明らかにしていない」の4語句を用いた。不起訴理由を明記していない記事では、「地検は不起訴の理由を明らかにしていない」という一文がかなりのケースで常套句として使われているからだ。対象メディアは全国紙4紙(朝日、読売、毎日、産経)、有力地方紙8紙(北海道、中日、中国、西日本など)、通信社2社(共同、時事)とした。
この検索でヒットした「不起訴理由が不明の記事数」はグラフ内の折れ線で示した。もちろん、不起訴理由を明示していない記事には、4語句以外の文字列を使ったものもある。したがって、グラフはあくまで参考程度に見てほしい(図表は、外部配信先ではすべて閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でご確認ください)。
近年は事件処理の7割が不起訴
日本の刑法犯は現在、毎年のように史上最少を更新している。警察庁のデータによると、2021年の認知件数は約56万8000件で、前年比7.5%減。戦後最少の更新は7年連続だった。2022年の上期も前年同期比0.8%減。これも戦後最少で、上期としては20年連続の減少だった。
主にネット情報を通じて得られる“体感治安”は別にして、日本はいま、空前の治安安定社会の中にある。上のグラフに示された起訴・不起訴(人数)がはっきりと減少傾向を続けているのもその反映だろう。
これに伴って、検察が不起訴を選択するケースも増加。近年では事件処理の7割が不起訴になっている。
こうした流れとは対照的に「不起訴理由が不明の記事数」は爆発的に増えている。グラフの折れ線に着目してほしい。2009年までは1年間に数件、あるいは十数件しかなかった「不起訴理由が不明の記事数」は2010年以降、明らかに増加トレンドに入った。増え方も激増という呼び名がふさわしく、2019年からは年間で2000件を超えるようになった。
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