激増する「不起訴の理由が不明」記事が大問題な訳 凶悪犯罪でも真相が水面下に潜ってしまう

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では、不起訴の理由を示せていない記事とは、具体的にどのような内容だろうか。

次の表は、朝日新聞の記事データベースを使って、不起訴理由がわからないと明記されたものをピックアップした結果である。期間は2022年4月1日から8月31日まで。検索キーワードは新聞横断検索の場合と同様の4語句「地検」「不起訴」「理由」「明らかにしていない」を用いた。

事件の容疑者が複数おり、1つの記事で起訴と不起訴に分かれているものなどは一覧表から外した。綿密な調査研究ではなく、あくまで傾向をざっくり把握するためのものだということを念頭に置きながら、並んだ見出し(地方版含む)を眺めてほしい。

フロントラインプレス作成

見えてきた4つの重要ポイント

いかがだろうか。大雑把な内容を知るための表ではあるが、いくつかの重要なポイントは見えてくる。整理すると、「不起訴理由が不明」の記事には次のような傾向がある。

① 凶悪事件(殺人、強盗、放火、強姦)でも不起訴理由が不明のものが結構ある

② 警察官や教職員などの公務員、マスコミ関係者が目立つ

③ 地方版での掲載が多い

④ 文字数は100文字前後という「ベタ記事」が多い

凶悪事件が多かったり(①)、公務員やマスコミ関係者の記事が目立ったり(②)するのは、逮捕段階での記事が多いためだ。地方版の記事が多い(③)のは、そもそも当初からニュースバリューが低いと判断され、初報が地方版にしか掲載されていないためと思われる。

ただ、報道機関が「地方版ネタ」と考えたとしても、殺人などの凶悪事件の不起訴理由が“謎”のままでよいのだろうか。それも1件や2件というレベルではない。しかも、ほとんどのケースでは、第一報段階では容疑者の実名が報道されている。

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