2月の株高の主たる要因は海外要因だが、先日コラムで指摘した国内要因も株高要因として作用したとみている。一つは消費増税で停滞した日本経済の持ち直しである。
コラムで述べたように、残念ながら筆者が予想したほど、2014年10-12月のGDP成長率は高成長とはならなかった。だが、消費増税の悪影響が和らぎ、かつ2014年秋口まで全く増えなかった輸出が増勢に転じ3四半期ぶりにプラス成長に戻った。
2014年10月から、輸出数量は明確に伸び始めた
筆者は、昨年11月3日のコラム「円安が輸出増につながらない本当の理由」で、円安によって輸出が増えないという議論を批判的に論じた。円安によって企業の価格競争力が高まるメカニズムは働くし、輸出が伸びないことの理由としては、2014年前半まで新興国や欧州などの経済減速による、所得要因が大きく影響しているとした。
実際には、日本で輸出に関する悲観的な議論が盛んだったちょうどその頃、米経済が昨年末まで高成長が続く中で、中国や欧州の景気減速が和らぎ世界経済の成長率が高まり、日本からの輸出が数量ベースで増え始めていた。実際に、日本からの輸出数量をみると、先に書いたコラムの同月末、つまり11月に発表された2014年10月分から、輸出数量が明確に伸び始めたのである。
この勢いは、2015年1月になってからも衰えずに、この4カ月について輸出数量は、リーマンショック直後に勢いよく輸出が増えた2009年時と同じペースで伸びている。
1月分の輸出数量の大幅増は、今年は中国の春節が2月中旬だったので、前倒しで1月に輸出が増えた面があるが、それを割り引いても強い伸びとなっている。アジア向け輸出に加えて、対米輸出が増えており、また停滞していた対ユーロ圏の輸出も1月から反発しており、輸出数量の回復基調は明確である。
米国主導で世界経済が復調する中で、過去2年の円安によって企業の価格競争力が高まった効果が重なり、輸出数量の回復が実現した。
金融市場では、一部セクターが供給制約に至っている状況を輸出停滞の主因と掲げ、供給制約こそが2014年の日本経済の成長率停滞を招いているという極端な議論もあった(筆者は2014年の日本経済停滞は、大型増税政策を時期尚早に行った判断ミスに尽きると考えている)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら