「株価大変動」への備えはできているか 日本株の基調不変でも米国株の値動きに注意

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早期利上げを警戒して急落するNY市場。米国の金融政策変更に対する備えはできているか(ロイター/アフロ)

なぜ米国株の上値が重くなってきたのか

筆者は今年の米国市場について、1月12日のコラム「2015年、最高の投資タイミングはいつか」で、以下の2つの可能性を指摘した。

すなわち、1)原油安やギリシャ不安で調整していた米国株が押し目買いの機会である可能性2)年央にかけて米FRBの利上げの思惑から、米国株が乱高下する可能性、である。

その後、米国株は上昇し3月初旬に高値を更新した後、3月6日発表の雇用統計の改善でFRBの年央の利上げ期待が高まったことで下落した。直近では年初からのリターンがほぼゼロとなっている。

どうやら、現状は上記の2)で想定した展開を迎えているのかもしれない。つまり、米国株市場の値動きが大きくなり、先進国株式の中でも、相対的に米国の上値が抑えられる局面が訪れつつあるのかもしれない、ということだ。

一方で、米国以外の先進国の株式市場に目を移すと、日本株と欧州株は年初から7~13%のプラスリターンを維持している。日欧は、米国とは異なり、2015年も中央銀行が金融緩和の強化を続ける姿勢を明確にしているが、これが米国株対比でのアウトパフォームをもたらしている一因だろう。

2010年以降の世界的な景気復調を牽引したのは米国経済だが、それを支えたのは、FRBがアグレッシブな金融緩和策を繰り出し続けたことだった。米国では緊縮的な財政運営が続いたが、先進国の中では金融緩和の景気刺激効果が強く現れ、それが経済成長と企業業績の改善をもたらした。FRBによる政策対応が相対的に上手かったことが、2009年からの世界的な株価上昇局面での米国株のパフォーマンスの高さをもたらした。

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