とすれば、FRBの金融政策転換で、「米国株高」をもたらしてきた過去6年あまりの株式市場の構図が変わってもおかしくない。
2013年末にFRBが量的金融緩和の縮小(テーパリング)を決断し、2014年の1年間を通じてゆっくりと緩和拡大を縮小して、量的金融緩和の拡大を止めた。この間、米経済は2014年春先から年率3%以上の高成長が続き、失業率も大きく改善した。ほぼFRBが想定したとおりに、成長率と労働市場改善が実現した。
イエレンFRB議長などは当時から想定していたようだが、緩和拡大終了後に半年程度の時間を挟んで、いよいよ政策金利の引上げ開始が視野に入りつつある。
3月6日の「2月分の雇用統計発表」以降、6月FOMC(公開市場委員会)での利上げが市場で意識され始めたが、FRBはあくまで経済指標次第で利上げの是非を決めるとしている。こうした中で、米経済指や、FOMC声明文の文言の取扱いを巡る解釈によって、株式市場が揺れ動いている。
日本株も、米国市場の変動見据え対処すべき局面
一方、日本株などの投資についても新たな局面が訪れている可能性がある。つまり、1)FRBによる金融緩和政策が転換期を迎え、過去6年の世界の株式市場を取り巻く環境が変わる中で、日本株の位置づけを「世界の中で相対的に考える視点」2)米国株市場の変動を踏まえてリスクをとるタイミングの判断、という2つの視点や判断が重要になってくるだろう。
具体的には、日本経済の回復を支えに日本株の上昇基調が崩れなくても、米国株の変動が大きくなり、2014年よりは短期的な値動きが大きくなるかもしれない。FRBによる6月利上げの可能性が一段と高まる中で、目先の株価変動に備えて安全資産の比率を短期的に高めるのは有効ではないか。
FRBの金融緩和策が、これまで株式市場を含めた金融市場、そして実体経済に及ぼす影響は絶大だった。FRBの政策転換が近づき、それが最近の株式市場のパフォーマンス(欧州、日本>米国)にも表れていることを見ると、金融市場に直面する投資家の立場から、金融政策の効果の大きさをより強く感じている。
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