筆者は1月26日のコラム「日本株、外国人投資家懐疑の目が変わるとき」において、日本株は押し目買いのチャンスである可能性を指摘した。2014年末からの米国株下落をもたらした複数の不確実要因が市場心理を悪化させ、日本株もその影響で当時は日経平均株価が1万7000円台前半で推移していた。
日本株も、アベノミクスもまだ「道半ば」
その後、2月になって海外における複数の不確実要因が和らぎ、リスク資産へのマネー回帰が世界的に起こり、幸いながらも日本株も大幅高となった。日経平均株価も2月末には1万8797円となり、2000年以来の水準まで上昇している。
もっとも、煽り気味の一部メディアは、日経平均株価の水準から「バブル再来」などと盛り上げているが、指数の連続性の観点でより優れている東証株価指数(TOPIX)は、依然リーマンショック前の高値から15%程度下回っている。
アベノミクスによる、脱デフレ・経済正常化はまだ道半ばだ。脱デフレ・経済の正常化が実現してはじめて、日本の名目GDPと、それに規定される企業利益の水準が将来伸び続けることが可能な経済状況になる。
リーマンショック前の水準にまだ全く戻っていないTOPIXを踏まえると、日本株市場はアベノミクスに期待している一方で、その成功まで完全に織り込まれる水準まで上昇したとは言えない。つまり、日本株市場は、完遂が道半ばであるアベノミクスの位置づけと相応な水準にあると考えられる。
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