日本株、外国人投資家の懐疑の目が変わる時 アベノミクス推進に必要な「2つの決断」とは?

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外国人投資家は「日本株、いいね!」と言ってくれるだろうか。筆者によると、今は懐疑的だが、見直しのきっかけが近づいているという(写真: Kzenon / Imasia)

前回1月12日のコラム「2015年、最高の投資タイミングはいつか?」では、1)年初からの不安定になっている金融市場は押し目の投資機会になりうる、2)2015年は米国株市場の上値は限定的としても、世界の投資家の目が日本株市場に向かう可能性、について述べた。

後者の観点から日本株市場にアップサイド(上昇余地)が期待できるとみているが、与党が昨年末の衆議院選挙で勝利したことで安倍政権の基盤はより安定し、さらに消費再増税の回避で2015年の景気下振れリスクがほぼなくなったと考えている。

昨年第4四半期は高成長、海外投資家の目が変わる?

2014年は、デフレ脱却の途上にもかかわらず、消費増税という経済成長を止める緊縮政策に転じたので、日本経済はマイナス成長に陥った。ただ、2014年末から、日本経済は回復に転じたとみられ、2014年10-12月GDP成長率は、それまでの停滞から、一転年率プラス4パーセント前後の高成長になったと試算される。

これが正しければ、堅調な米経済を一時的にせよ、超える成長率に回復することになる。マクロ経済指標を重視している海外投資家の日本株市場を見る目が、GDP統計が発表される春先までに変わる可能性がある。

日本経済が昨年末から回復に転じつつあるのは、消費増税による悪影響が和らぐ一方で、2013年からの日本銀行の量的緩和の景気刺激効果が、タイムラグを伴いながら日本経済を支えているためだ。「円安になっても輸出が増えない」など、うがった見方は依然多いが、円安による価格競争力回復が輸出を押し上げるメカニズムは水面下で働いている。

米国経済の成長加速で2014年半ばから世界経済が安定したため、2014年央まで大きかった輸出抑制圧力が和らぎ、秋口から円安による輸出押し上げ効果が表面化してきた。

日銀の金融緩和がもたらした円安によって、日本企業全体の売上が底上げされたため、大型増税という緊縮財政政策で日本経済がマイナス成長に転じる中で、2015年3月期の日本企業の業績は堅調な2ケタ近い増益を保ったとみられる。

また昨年夏場から為替市場で円安ドル高に動き、同10月末の日銀の金融緩和でさらに円安が進んでいる。日銀の金融緩和政策が、企業部門を支えることで、日本経済の底割れを防いだとみられる。

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