2015年は、早々に米国株市場が大きく調整する波乱含みの幕開けとなった。
昨年末12月31日に大きく下落した米国株は、年明けも下落が止まらずS&P500指数は12月半ば以来の水準まで再び調整した。世界的な株価下落に加えて(日経平均株価も1万7000円割れ)、社債市場ではクレジットスプレッドも同様に再び拡大した。一方、安全資産である国債に買いが集中し世界的に長期金利は低下、年初早々に米10年国債金利が1%台まで下がった。
原油価格下落=株式市場にプラス、とは言い切れず
投資家のセンチメント悪化を引き起こしているのが、昨年10月から下落が続く原油安に歯止めがかからないことだ。さらにギリシャ議会選挙をうけて同国のユーロ離脱懸念も浮上。これらが引き起こす不測の事態に備えるために、保有資産のリスク量を落とす動きが広がったとみられる。
原油価格の下落、そして関連するロシアなどの不確実性を示すニュースがヘッドラインで伝えられ世界的に株式市場が下落する同様の局面は、2014年10月半ば、同年12月半ばとすでに2回起きている。まず、2015年早々にマーケットは不穏なスタートとなったが、過去2回と同様のパターンと位置付けることができる。過去2度とも株価下落は結果的には押し目買いの好機だったわけだが、2015年早々のこの局面をどう考えるか?
原油価格下落は、原油輸入国(先進国やアジア諸国)にとって、輸入コスト低下という交易条件の改善を通じて経済成長率を押し上げる。世界全体の最終需要は経常赤字国の米国によって吸収されているため、米国の家計所得を増やす原油安は世界経済全体にとってポジティブである。
これはシンプルな静学的なモデルが導く結論で、マーケットでも幅広く認識されているが、「この要因だけ」を理由に、原油安が株式市場などのリスク資産にポジティブとストレートに判断するのも楽観的過ぎる面がある。というのも、昨年秋口以降の原油価格急落にはさまざまな側面があり、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和終了→利上げ開始、というFRBの金融政策の転換が引き起こした側面があるためである。
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