一方、原油安に伴って株価下落が昨年秋から頻発していることについては、先に述べたとおり、FRBの政策転換が原油価格を通じて表れている側面にも留意したい。ECBと日本銀行の金融緩和強化が続く中で世界的には金融緩和的な状況は続くが、肝心のFRBの政策転換が米国株市場の上値を抑制する「前哨戦」が、2014年秋口から始まっているという視点も同様に重要である。
投資パフォーマンスを決定づけるタイミングは?
そう考えると、今年筆者の予想どおり米経済は3%を超える高成長が実現しても、米国株の調整を「押し目の好機」とする丹念に拾うトレーディングは、2014年までほとんどの局面で機能したが、2015年には金融市場の変動率が高まる中で、このトレーディングが機能する機会が減少すると予想する。そしてFRBに対する思惑が揺れ動くことで、米国株市場のセンチメントの振幅が大きくなる結果、米国株の上値余地が限られるのではないか。
2015年初早々に訪れた米国株の値動きが、筆者の見立て通りに「2度あることは3度ある」という意味では好機到来とみてよいだろう。ただ、仮にそうだとしても、2015年を通じてこれまで同様ワークし続けるかどうか微妙だし、2015年の投資パフォーマンスを決するのは、FRBの引締め政策の思惑が強まる局面での投資判断タイミングになるだろう。
年初の混乱はまだ前哨戦に過ぎず、本当の勝負所は年央に訪れるのではないか。その局面での米経済の方向性と現状についての判断力(経済指標の市場のコンセンサスとのブレで一喜一憂しない目利き)が、2015年の投資パフォーマンスを決するだろう。
一方で、米国株を取り巻く環境が変わる中で、今年世界の投資家の目線は、これまで世界を牽引した米国株以外に向けられる可能性がある。2014年のインド株や上海株のように、米国株をアウトパフォームする国が意識されるのではないか。
そう考えると、消費再増税の回避という、「多くの有能な米国の経済学者による推奨に従った賢明な判断」を昨年末に安倍政権が下したことは、かなり重要だったと言える。
2015年に引き続き政治リスクを抱える欧州や中国と比べると、日本株が、消去法的ではあるものの、米国株に代わる位置づけに挙げられる可能性は十分あるからだ。
先に述べたように、米国株の値動きの不安定になりリスク資産全般の押し目買いのタイミングの判断は今後難しくなるとしても、日本銀行による強固な金融緩和へのコミットが維持される中で、日本株市場は相対的なアウトパフォームが期待できると考えている。
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