なお、昨年末の衆議院選挙で、「安倍自民党ストップ」を目指した野党は議席を大きく伸ばせず、アベノミクスの信任と消費増税先送りを掲げた安倍政権は大多数の議席を守った。
日本のメディアでは未だに金融緩和懐疑論が根強いが、それらはほとんど空論に過ぎず、日銀の金融緩和強化で実現した雇用創出、そして失業率低下と同時に自殺者数が減少したことが象徴している日本社会の安定を、多くの日本人が実感しているのではないだろうか。
脱デフレのプロセスが再び前進、今は押し目買いの好機
昨年末の追加金融緩和で、金融緩和がもたらす累積的な景気刺激効果が強まり、それが2015年に顕在化すると筆者は考えている。足元のマーケットでは、原油価格の下落がもたらす負の側面が注目され、また日銀による物価目標実現が遠のいていることがネガティブに評価されている。ただ、原油価格下落は交易条件の改善による「減税」であり、金融緩和による景気押し上げ効果を増幅させる。
2015年4月以降は、名目賃金やサービス価格の上昇率が加速するだろう。当面はガソリンなど価格下落で表面上の消費者物価指数が低下するので、日銀の金融緩和政策に対する懐疑論が盛り上がる可能性もあるが、実際には脱デフレのプロセスが再び前進し始める。
日銀による金融緩和に対する的外れな懐疑論がメディアで賑わう場面が2013年以降度々あったが、それらの多くは日本株の押し目買いの機会だった。最近の日銀の金融政策に対する、メディアによる偏った論調をみると、2015年も同様の投資機会が訪れているのではないか。
アベノミクスに対する期待という観点については、メディアの多くは成長戦略を主に取り上げる。ただ、これまでも筆者のコラムでも再三述べているが、政府が規制緩和推進を地道に続けることは必要としても、成長戦略の中身には官業の肥大化に過ぎない害悪も大きいメニューが紛れ込んでいる。
それよりも、デフレからの完全脱却を図る日本にとって重要な政策対応は、経済成長率を左右する総需要を刺激するマクロ安定化政策を徹底して、GDP成長率を持続的に伸ばすことだ。
筆者は2015年度のGDP成長率は2%を超えて、2013年度同様に民間需要主導の高成長に戻ると予想しているが、それを支える金融財政政策がしっかり続くかどうか。まず、先述したように2014年末に日本銀行による金融緩和第2弾が実現しており、今後それが総需要を刺激する効果が顕在化するとみている。
また、2015年は日銀の金融政策判断よりも、以下の2つについての政府の判断と行動が、アベノミクスのさらなる推進という観点から重要になる。1)2015年中に任期を迎える2名の日銀審議委員の人事、2)日銀法改正を目指す政治の動き、である。
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