「何度も言わせるな」親に叱られ育った少女の悲劇 教育熱心な母親の言動が引き起こした結末

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しかし、実際のところヒトミは親の思惑をわかっていませんでした。突然「何度言ったらわかるの!」とキレられてびっくりしたのです。これは極端な例ですが、親が「何度も伝えている」と思っていることも子どもには伝わっていないことだってあります。そういう場合は伝え方を変える必要があるでしょう。

もう1つは、親自身の思い込みで勝手に怒っているのではないか、ということです。「何度言ったらわかるの!」は、親が子どもに対し「こうあるべき」と思っていることを裏切られたという怒りの表出です。しかし本当にそうあるべきなのか、点検してみる必要があります。ヒトミはどんなに疲れていてもまず宿題を済ませるべきなのでしょうか?

偏差値の高い学校へ行くべき、そのために宿題や勉強を頑張るべきというのは親の個人的な価値観です。言うなれば一方的な押しつけだし、思い込みです。「子どものためを思って言っている」と言うかもしれませんが、親自身が安心したいとか周囲に認められたいという親側の都合で言っていることも多いもの。

親側の思い込みを知るチャンス

子どもは敏感に察知して反発します。

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親のために生きているのではないからです。それに対し「何度言ったらわかるの!」と怒りを爆発させるのは正しいと言えるのでしょうか?

「何度言ったらわかるの!」と言いたくなったときは、自分の思い込みに気づくチャンスです。

どういうことに対して怒りを感じるのか、書き出してみてください。勉強のこと、しつけのこと、友人関係のことなど傾向が見えてくるはずです。それはあなたが大切にしている価値観なのだと思います。価値観自体は何も悪くありません。ただ、「こうあるべき」という思い込みが怒りの源になっているなら、それに気づくことが解決の一歩になります。

出口 保行 犯罪心理学者

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でぐち やすゆき / Yasuyuki Deguchi

1985年に東京学芸大学大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員上級心理職として法務省に入省。以後全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理学的に分析する資質鑑別に従事。心理分析した犯罪者は1万人を超える。2007年法務省法務総合研究所研究部室長研究官を最後に退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年からは同学部長を務める。内閣府、法務省、警視庁、各都道府県庁、各都道府県警察本部等の主催する講演会における実績多数。現在、フジテレビ「全力!脱力タイムズ」にレギュラー出演しているほか、各局報道・情報番組において犯罪解説等を行っている。

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