「創価学会」団塊世代の退場で、一気に弱体化も 寄付や公明党の得票数で、往事の勢いなし

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公示後ともなれば、民間勤めの地元幹部は有給休暇を取って企画室に常時詰めなければならない。テレアポ部隊が四六時中電話をかけまくり、毎晩、その日の活動報告が行われる。そんな中、威勢のいいF取り報告は、票に結びつかないにしても、その場を盛り上げる格好の景気づけだ。

他方で、期日前投票の「連れ出し」も学会の特徴である。高齢の学会員に候補者氏名を手取り足取り覚えさせ、企画室の幹部がマイカーで投票所まで送迎するのだ。

企画室の選挙参謀たちは時に過激な行動に走ることもある。2009年の衆議院選挙で派遣された元本部職員によると、対立候補のスキャンダル探しのために尾行や自宅調査まで行われたとされる。このときは「対立候補が警察を呼ぶ一幕もあった」という。

いずれにせよ、これら選挙区の企画室で取りまとめられた情報は直ちに東京・信濃町の学会本部に上げられ、会長以下の最高幹部により情勢分析が行われる。選挙終盤、『公明新聞』には危機感をあおる大見出しが踊り、現場ではいっそうねじが巻かれる。こうやって底辺から積み上げられた学会の票が、公明党に投じられる全国数百万票となるわけである。

公明党の獲得票数は減少が続いている

しかし近年、その組織力には衰えが目立つ。今年7月の参院選で公明党が獲得した全国の比例票は618万票。昨年の衆院選から100万票近くも減った。

前述とは別の元本部職員によれば、自公協力の下、衆院選の全国比例票は自民党との「バーター」により取り込んだものが相当数含まれるという。小選挙区で自民候補に学会票を差し出すかわりに、比例区で自民票をもらうのだ。だから、参院選のほうがそのときの実力を素直に表していると見ていい。3年前の参院選で獲得したのは653万票。やはり今回はそこからも減らしている。

 じつは、学会組織で長らく看板となってきた「婦人部」は昨年11月、消滅した。おおむね20代以下で構成する「女子部」と統合されて「女性部」となったからだ。これは女子部の要員不足を糊塗する苦肉の策ともされる。
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