霊という文字の暗いイメージから脱却
――日本で「癒し」や「スピリチュアル」という言葉がはやり出したのはいつ頃でしょうか。
日本では1970年代からオカルトやニューエイジ、精神世界と呼ばれる、宗教団体と一線を画したブームが起こりました。1995年のオウム真理教事件を経て下火になるかと思いきや、2000年代にはテレビ・書籍を中心にスピリチュアル・ブームが起こります。
その象徴的な存在はスピリチュアル・カウンセラーの江原啓之氏です。ピークは2007年あたりで、その後、江原氏がテレビ出演を控えたのでブームは衰退したように思われています。しかし、出版やネットユーザーの動向を見る限り、2011年の東日本大震災以降にも関心の高まりがみられます。
つまり、テレビとは異なるメディアを通して、拡散と深化は続いているのです。
年に2度ほど放映された特別番組「天国からの手紙」も、故人となった霊のメッセージを江原氏が遺族に伝えるという内容でした。このような能力をもつ存在は、従来なら「霊能者」「霊能力者」と呼ばれてきましたが、江原氏は霊という文字の暗いイメージからの脱却を図るため、自らを「スピリチュアル・カウンセラー」と呼びます。
江原氏は集団を組織する権威主義的な「宗教」とは距離を置きます。心理学用語やカウンセリングという言葉を用いながら、個人カウンセリングは行わず、メディアを活動の中心としました。「スピリチュアル」をキャッチフレーズとした生活に役立つ商品(聖地の旅行ガイド、音楽作品、ダイアリー、育児書など)を販売しました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら