統一教会からの「返金終了」が山上家貧窮の決定打 兄の自死が再起を図る徹也の希望を打ち砕いた

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山上徹也容疑者の妹は母親に対して、「てっちゃんと私には一度も謝ってないんちゃうか」と怒ったという(写真:共同通信)
安倍晋三元首相の襲撃事件から2カ月が過ぎた。事件前から献金を巡り、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会、以下、統一教会)と対峙してきたのが、元弁護士である山上徹也容疑者の伯父だ。
「徹也の兄が死を選んだ背景に、返金が終了し、収入が途絶えたことが影響しているような気がしてならない」。2015年に山上徹也の兄が自死した背景について、伯父はそう語る。
特集「宗教を問う」の第6回は、山上容疑者の伯父が、事件が起きた要因について詳細に語ったインタビューの後編。(インタビュー前編は「山上容疑者を凶行に駆り立てた一族の『壮絶歴史』」

献金額の全容を明らかにしない統一教会

――伯父さんは統一教会に、A子さん(山上容疑者の母親)の献金額を明らかにするよう求めているとか。

徹也の兄から「何日も食べていない」という連絡を受けた後、私は奈良の統一教会に「A子の献金の全容を明らかにせよ」と求めるFAXを送った。2004年末のことだ。返答してきたのは奈良の元教会長。徹也が自殺未遂をした時、私が連絡を入れた人物だ。

元教会長の返答は「献金の内訳等は、ただいま検討しています。しばらくお待ちください」というものだった。

後になって少しずつ知ることになるのだが、徹也が自殺未遂をした後、山上家と統一教会は返金に関する協議をしていて、毎月30万円から40万円ずつ返金していくことで合意していた。統一教会側の窓口になっていたのが元教会長で、徹也はこの元教会長とはコミュニケーションがあり、将来のことについても話をしていたようだ。

2009年、私は奈良の統一教会に2度目のFAXを送った。献金の全額を明らかにせよと。統一教会側は、山上家と結んだ「合意書」を示してきた。合計5000万円を分割返済していくというもので、2009年までに約2000万円を返済していると。残り3000万円を返済していくという内容だった。

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