統一教会からの「返金終了」が山上家貧窮の決定打 兄の自死が再起を図る徹也の希望を打ち砕いた

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――統一教会は返金を求める信者、元信者とは「合意書」を結ぶとされています。一定額の返金を約束したうえで、それ以外の請求は一切しないことを確約するものだとか。

生活が苦しい徹也たちは、5000万円だけでも返金してもらえるのならば、と合意書にサインしたのかもしれないが、私は納得がいかない。そもそもA子がいくら献金をしたのか、全容がわからないのに、どうして5000万円のみの返金で合意させようとするのか。

私が何度求めても、統一教会は献金の全額を明らかにしようとしない。今、報道ではA子の献金額は合計約1億円とされている。仮に1億円だったとしても残り5000万円は返金されないままだが、もしA子の献金額が1億円を大きく上回っていたら、どうなる。

統一教会からの返金が生活費に

ーーもっと大きな額を献金していた可能性があると。

現金での献金は1億円でも、A子が住んでいた家にはいくつもの壺や多宝塔があった。あれらはいくらで購入したのか。亡くなった夫と結婚する「霊肉界祝福」の費用や、韓国での40日修練、先祖の霊を慰めるという「先祖解怨式」など、献金以外にも多額の金がA子から統一教会に流れている。全額を明らかにしなければ「5000万円」の返金額が妥当だったのかの検証はできない。統一教会はなぜ全容を明らかにしようとしないのか。

私がA子の献金額を明らかにせよと統一教会に求める理由はいくつかある。1つは2013年、「合意書」に基づいて山上家への分割返済が終了したことが、山上家にとって大きな転機となっていると思えるからだ。

2005年の徹也の自殺未遂後、元教会長は毎月30万円から40万円の現金を持ってきていた。合意書作成後の支払い方法はわからないが、統一教会からの返金がA子や徹也の兄たちの生活費、医療費になっていた。ところが2013年に返金が終了することで、山上家の収入は実質的に途絶えたんだ。

徹也の兄が自殺したのは、返金終了から2年後の2015年11月のこと。その頃には病状がかなり悪化していた。前年には光熱費や家賃を補てんしていた妹B子も家を出ていて、A子と兄の2人だけで暮らしている状態だった。医療費も生活費もままならない生活は悲惨だったはずだ。徹也の兄が死を選んだ背景に、返金が終了し、収入が途絶えたことが影響しているような気がしてならない。

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