「創価学会」団塊世代の退場で、一気に弱体化も 寄付や公明党の得票数で、往事の勢いなし

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東京・信濃町の創価学会本部(編集部撮影)
会員世帯数827万(公称)を誇る創価学会。信者である学会員の特徴は、組織に強い一体感を持ち、日常の活動に熱心に取り組んでいることだろう。創価学会の政治的・社会的影響力は、ほかの宗教団体と比べると、はるかに巨大だ。学会が支援する公明党は国政で自民党と組み、自公連立政権は20年にも及ぶ。
一方で、創価学会はかつての勢いが失われたと指摘されて久しい。国政選挙での公明党の得票数は減少傾向が続いており、「財務」と呼ばれる学会への寄付も以前ほど集まらなくなっている。
特集「宗教を問う」の第5回は、創価学会に関する著作もあるジャーナリストの高橋篤史氏が、学会が直面する課題を伝える。

「今度、そちらの選挙区でうちの◎◎××というのが、出るんですけどぉ、是非お願いしますぅ」

国政選挙の前になると筆者の元には、ある年配の創価学会の女性会員から必ず投票依頼の電話がかかってくる。かつて全国婦人部長も務めた古参の大物学会員だ。

依頼されてもそのとおりに投票したことなどないと、それとなく伝えるのだが、それでも選挙前には必ず電話が入る。これが世に言う「F取り」である。「F」とはフレンド、つまりは友人への投票依頼を指す学会用語だ。

創価学会の組織的な選挙活動が論じられるとき、とりわけ主婦層の学会員が熱心に取り組む、このF取りが引き合いに出される。もっとも、「男子部」(おおむね30代以下)の時代に選挙活動で前線指揮を執った50代の元活動家によれば、それは「勢いのバロメーター」にすぎないらしい。筆者への依頼のように票に結びつかないことが大半で、当てにならないからだ。学会の緻密かつ強力な選挙活動は、むしろほかの点が重視されているのが本当のところだ。

選挙の半年前には、現地に「裏選対」を設置

おおまかな日程があらかじめ決まっている参議院選挙や統一地方選挙の場合、学会の選挙活動は半年前には水面下で動き出している。候補者事務所の近くに「企画室」と呼ばれる「裏選対」がまず立ち上げられるのだ。

学会はことのほか政教一致批判に神経質。だから全国で千数百カ所ある会館を選挙活動に使うことはない。候補者事務所で学会員の組織活動が目立つのも御法度だ。そのため雑居ビルの1室などを借り、そこを拠点とする。

企画室には学会本部から職員が責任者として派遣され、地元幹部が集められる。活動の最初は「ZU台帳」の整備だ。「ZU」とは「全有権者」を指し、まずは選挙区内の学会員世帯すべてがリストアップされる。学会の地元組織は「統監カード」と呼ばれるものを常備しており、学会員の氏名や住所、家族構成などを把握している。これがZU台帳の大本となる。

票固めは「NU」から着手される。「内部有権者」、つまりは学会員そのものだ。次は「GU」である。「外部有権者」のことで、学会員世帯のうち未入会者を指す。NUの中でも活動家とそうでない者は区別され、活動家は「K」と略称される。その者がF取りをすれば、「マルK」に格上げとなる。こうやって学会は票を固めていく。

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