『Believe It 輝く準備はできてるか』のような本が増えれば増えるほど、「自分らしさ」がある意味での普遍性となり、表層的なライフハック本など必要ないということに、多くの人が気づくのではないかと思います。
自分を労わり、スタートラインに立つ
現代は、メンバーシップ型から、ジョブ型の働き方へと変わるなかで、誰もが主人公として生きていくことを、ある意味で解放されたようなところがあります。
とは言え、誰もが自分らしさを見つけに行くというのは、難しい問題であることに間違いありません。ジェットコースターのように紆余曲折があり、ニヒリズムに転落する危機もあるだろうと思います。
1人で向き合うのでなく、水先案内人として、誰かを巻き込むことが大事かもしれません。巻き込めた人数が多いほど、ありうる姿のロールモデルも増えるでしょうし、依存先をたくさん増やすことで、むしろ独立できるようになると思います。
ジェイミーさんも、触れたくない過去についての描写には、ネガティブなものが見られました。でも、そうした視点がなければ、あたたかいサービス、ぬくもりを感じる事業を作ることはできないのではないかと思います。
彼女の場合、美の象徴である化粧品の分野で自分らしさを出そうとしましたが、当初は、猛反対され、社会の通例と立ち向かわなければなりませんでした。
自己確信、つまり、自分に対するあらゆる可能性を信じること。それが彼女のテーマでもあり、成功の秘訣でもあるわけですが、そのスタート地点は、自分の痛みや苦しみを知り、自分を労わるということなのだろうと本書を読んで思いました。
私は、これからも、「渋川駿伍」という職業を極めつづけます。将来的には、職業としての自分の名前を変えることもあり得るかもしれません。葛飾北斎は、一生のうち30回近くも改名し、そのたびに、住む場所も画風も変えていました。自分の人生の中に「人格」がたくさんあってもいい。そんな生き方があってもいいなと思っています。自分にたくさんの人格があれば、一面的な物差しによる「格差」は解消されるのではないかと思います。
誰もが自分らしさを追求できる、社会的な下準備はできつつあります。あとは、覚悟を決めて全員が哲学者になる。大哲学時代の幕開けになったら、面白いですよね。
(構成 泉美木蘭)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら