職業は「自分の名前」人生をフカンでとらえる幸福 表層的なライフハック本にサヨウナラを告げる

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特に大きく変化したのは、働き方の面ですね。以前は、「早く結果を出さなきゃ」と駆り立てられていて、休日もプライベートも捨てて、朝から晩までオフィスにこもっていました。

しかし、それでは、自社が掲げている「人生の主人公」というビジョンや、ウェルビーイングとはかけ離れていきます。体調も崩してしまい、負のループに陥ってしまいました。

ビジョンと向き合うには、やはり、自分自身がそのビジョンを体現する1人でなければいけないと思います。主人公である自分は、どんな生活をしているのか、どういう場所で働き、どういうコミュニケーションをとっているのか。

そう考えていくことで、自分の生活における、手の届く範囲の理想が見えるようになってきたのです。

本書でも、すべてを完璧にこなすことへのプレッシャーを感じていた著者が、憧れの女性経営者が「何かは犠牲にしなくちゃ」と言った言葉から、「バランスを取る必要はない」との大きな気づきを得ています。ここは、すごく面白いと思いました。

バランスを取ろうとして、頑張れば頑張るほど、むしろ、すべてがうまくいっていないことをメタ認知してしまう。ジェイミーさんは、それって健全ではないと言っているのですが、とても共感します。

すべてが平均的にプラスになっている状態ではなくても、その場その場を最大化できていれば、完全にキレイな形を目指さなくてもいいんだという、いわば「積極的なあきらめ」を持てたとき、心が解放された気がしています。

解像度を下げてニヒリズムから脱却

最近は、世の中を眺めるときの「解像度」をどれだけ調整できるか、ということが重要なスキルだと思うようになりました。

世界をありのままで見ようとすればするほど、起きている問題や政治の腐敗などを目の当たりにして、幻滅してしまいます。そして、本当に世の中は良くなるのだろうかという漠然とした不安や、自分など問題解決に貢献できるような存在ではないという自信喪失にも見舞われます。

そこで、あえて全体をボカして眺められる程度に、「解像度」を下げてみる。そうすると、大義を抱き続けやすくなるのです。

これは、オプティミスティック・ニヒリズム(楽観的なニヒリズム)という考え方で、大きな視座を持つことで、ニヒリズムから脱却できるというものです。

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