神戸屋「包装パン事業撤退」示すパン業界の大変化 今後パン業界は「質か量か」の二極化が加速か

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イーストフードは、パンの発酵を助けるために使われ、乳化剤は水分と油分の乳化を助けるために使う。この2つの食品添加物についても、山崎製パンはホームページで、不使用をうたう製品が増えているが、それらは「同質、あるいは同一の機能を有する代替物質を使用して製造された」、と批判している。

大量生産を行う工場でこれらの食品添加物を使うのを止めると、多大なコスト増となる。2017年に木村屋総本店へ取材した折、乳化剤を使わないために生産効率が落ち、製造工程自体を見直さなければならなかったと聞いた。そもそも、少人数で手作業を中心に行うパン屋のパンと、機械化し大量生産する製パンは、同じやり方はできないのである。

神戸屋が臭素酸カリウムの使用を止めた理由は「疑わしきは使用せず」だったと、同社ホームページの年表にある。大手にもかかわらず、食品添加物の使用を避けるのは、安全性に疑いを持ったからだった。そして、同社の言葉を借りれば「すべては『おいしさ』のために」、食品添加物を減らす方向へと進んだ。

神戸屋「パン作り」の姿勢を歴史から読む

同時にそれは、より手間がかかる生産スタイルを選んだということでもある。高品質ブランドとして特化するために、包装パンの事業は手放したのではないか。そうした姿勢を知るカギは、同社の歴史にある。

創業は1918年、大阪・福島である。『パンの明治百年史』によれば、創業者の桐山政太郎氏は広島県出身で、神戸に出て戦前の神戸を代表する西村製パンの卸売業を始めた。

神戸から大阪までパンを運ぶ仕事をするうち、多くの得意先から後押しされ、自らメーカーになろうと起業し急成長している。自らの出発点が神戸にあることに加え、神戸のブランド力を実感していたことから、社名を「神戸屋」とした。

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