ゴルフ離れは若者だけの問題ではなかった! 「2015年問題」におびえる関係者たち

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過去の同イベントでは、必ず人だかりができるブースがいくつか見られた。会場で注目されたモノは、だいたいその年の「ヒット商品」となってきたものの、今年はそうした光景がほとんど見受けられなかった。

「今年は目玉がない」

会場で出会ったあるプロゴルファーもこう漏らしていた。「クラブなどの用品が売れていないので、新製品の開発資金が不足しているのかなぁ……」という意見も。確かに新商品も既存のモノの焼き直しが多かった。ゴルフ用品に関する規則の改訂もあり、クラブにしろ、ボールにしろ画期的な製品は出にくくなっているのかもしれない。

ただ、ゴルフフェアの会場は歩いているだけで楽しい。出展ブース前にはPR用に製品を配っているところもあるので、手を出せばもらえる。面白そうなブースを製品のパンフレットを集めながらちょっと歩いただけで、ティーペグと「疲労回復にいい」という肌に張りつけるシールを入手できた。もっと真剣に歩けば、そこそこのゴルフグッズが手に入るだろう。まあ「クラブを1本」などと景気のいいものはないのだが、デパ地下の食品売り場で試食して歩いているような感じだ。

ゴルフ業界の「失われた20年」

ゴルフ業界の景気は、このところ「右肩下がり」だ。矢野経済研究所によれば、2013年のゴルフ用品出荷額は約2630億円で、東日本大震災前の2010年の水準にようやく戻ったぐらいだという。数字はほかにもいろいろあるのだが、ピークとされるバブル終末期の1992年の半分以下というのが実状。世間一般と同じように、ゴルフ業界でも「失われた20年」という言葉がよく使われる。

2015年問題は、さらに輪をかけて市場縮小につながるかもしれない。ゴルフ業界では「市場活性化」や「若年ゴルファー創出」などが声高に叫ばれ、日本プロゴルフ協会の倉本昌弘会長らも危機感を訴えている。ただ、そうそううまいカンフル剤はない。ゴルフ関連の各企業も自社のことに手いっぱいで、業界全体で協力していこうという余裕もムードもない。

「2015年からますます大変だ」と従来から予測されていたにもかかわらず、ゴルフ業界全体にまだ実感が伴っていないため、有効な手立てを見つけられないでいる。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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