不登校の子がみるみる生き生きする不思議な教室 天井も壁もないフリースクールが檜原村に誕生

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森の教室
東京都あきる野市の川原で行われた「森の教室」の風景

2022年9月から、非常にユニークなフリースクールが始まります。学年がない、テストがない、時間割がない、宿題がない……というフリースクールはいままでもあったのですが、それだけじゃありません。なんと、壁も天井もないのです。豊かな自然をそのまま教室にしてしまう、屋外型のフリースクール「森のスコーレ」です。

代表の井本陽久さんはもともと神奈川県の進学校・栄光学園の数学教師です。ユニークな数学授業が有名で、全国から見学者がやってきます。一方で、学校の近くの児童養護施設やフィリピンのセブ島の孤児院での学習支援などにも継続的にかかわっています。その経験を生かして2016年に私塾「いもいも」も開きました。

拙著『不登校でも学べる』でも詳しくレポートしていますが、「いもいも」が平日の昼間に実施している「森の教室」には毎回多くの不登校児童・生徒が参加します。学校には行けていない子どもたちが、そこでは生き生きとした笑顔になり、どんどん仲間をつくり、自分を取り戻していきます。評判はクチコミで広がり、毎回キャンセル待ちがでるほどです。

このたびさらにその活動の一環として、「森のスコーレ」というフリースクールを立ち上げることになりました。場所は東京都西多摩郡檜原村の山奥。毎日通うのは難しいので、旅館と契約して寮として使わせてもらうしくみです。

不登校の子どもたちと日々接する中で見えてくるいまの教育のあり方の問題点を、井本さんに語ってもらいました。

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相手を傷つけるのが怖いから友達と話せない

ついこのあいだ、いもいもの中学生向けの数学の授業で、対話をやってみたんです。そうしたら、ある子が「自分はほんとは『陰キャ(陰気な性格)』なんだけど、学校では友達がみんな『陽キャ(陽気な性格)』だから自分も『陽キャ』を演じなきゃいけない。だからすごく疲れる。いもいもにはそういうのがないから、来られる」と告白したんです。

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