不登校の子がみるみる生き生きする不思議な教室 天井も壁もないフリースクールが檜原村に誕生

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いま学校の先生たちはものすごく葛藤しています。できない子をできるようにするってことに先生が一生懸命になると、「できない子はダメ」というメッセージを子どもに与えることになってしまいます。そのなかで他人を受け入れるとか教えようとするって滑稽じゃないですか。まじめな先生ほどノイローゼになっちゃいますよ。

人間関係や試行錯誤の経験は子ども同士が集まらないと学べない。でもいま、地域社会も希薄になっているなかで、子ども同士が集まる場所といったら学校くらいしかない。だとしたら、学校ではみんなだからできることに注力すべきです。「できる/できない」みたいな学びは個別化してしまえばいいと思います。

たとえば自転車の練習って、個別じゃないですか。自転車を運転するテクニックを細かいところで比較されたりしないから、それで悩んだり自殺したりする子はいないじゃないですか。だから、あらゆる知識・技能の習得は個別化の方向でいいと思います。

子どもなんて変えることはできないし、
変える必要がない

子どもなんて変えることはできないから、「なんでこの子はこんなんなのかな?」と苦しんで苦しんだ揚げ句に、「あ、この子はこのままでいいんだ。自分がこの子を見る目を変えればいいんだ」って気づくことが、子育てや教育の真髄です。

なのに、メディアは「こうすればこうなる」みたいな情報を無責任に次から次へと流すから、あれもこれも試すんだけど、やっぱりうまくいかなくて、親も先生も苦しみ続けるわけですよね。

いもいもが創立当初から基本としていたのは、子どもを変えることを目的にしないということです。子どもの“いいところ”を伸ばすという言い方すらしません。子どもの“いいところ”と言っている時点で大人の価値観に基づいてそこに誘導しようということになっちゃいますから。

そうじゃなくて、大人側の感受性が変わることに、いもいもの目的はあります。どんな子を見ても、「いいな」って思えるようにわれわれがなる。

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