不登校の子がみるみる生き生きする不思議な教室 天井も壁もないフリースクールが檜原村に誕生

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そんな子に見えなかったから、「マジか?」って思って。そのとき教室に20人くらいいたんですけど、「実は学校ではキャラをつくっているんだというひとは?」って聞いたら、9割くらい手を挙げました。要するに、学級の中で、どういう態度が受け入れられるかなとつねに考えて話しているんですね。

次の子は、自分の言動が誰かに嫌な思いをさせないか、誰かを傷つけないかということが気になっちゃって、あまり話せなくなっちゃったと言うんです。だから学校でひとと話すのが怖いと。子どもたちの置かれたその状況が、僕にはちょっと信じられなくて。

そう考えると、いもいもにそういう子どもたちが集まってくれているのは、ものすごく切実な思いの表れなのかもしれないと、痛感しました。切実っていうのは、苦しいとかいうよりも、もうそれが当たり前だと思ってあきらめているようなニュアンスです。それが無理な子が、つまり、自分らしく生き生きと生きることしかできない子が、学校に行かなくなるんだと思います。

本人たちは何も問題がないのに

もともとやっていたいもいもの活動での経験から、こんなにたくさんの子どもたちが、本人たちには何にも問題がないのに学校に行けていないのはおかしいという感覚はもっていました。なのに、親も含めて、学校に行けない本人たちが肩身の狭い思いをしたり、傷ついたりしている。それは学校の問題じゃなくて、社会全体の雰囲気の問題ですよね。

最近は森の教室があるときだけ学校を休むという子もいて。そういう使い方もあるよなと。しかも校長先生の判断次第では、いもいもへの参加を学校への出席扱いにしてくれるみたいで。そうやってバランスをとりながら学校に通えるんだったらそれもありですよね。

あるお母さんはこんなことを言ってました。自分の子が学校に行かないと言ったときに「やった!」と思ったと。大人が副業とかリモートワークの時代と言っているのに、子どもは決められた学校だけというのがおかしいって。その通りだなと思いました。「学校」という形にこだわらなければ、実は学べる場所は結構いろんなところにあるんですよ。

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