「日産リーフ」より「テスラ」がEVの主役になった訳 イノベーションなんて誰も使いたがらない理由

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:2000年以降にパラダイムが変わったから、イノベーションを生み出すメカニズムもこのようなモデルになったのか。昔からあったけれど、誰も発見しなかったのか。どちらでしょうか。

出所:『イノベーターの競争戦略』

内田:昔からだと思っています。たとえば、エジソンは電球の発明で知られていますが、それだけでなく、発電所や送電会社もつくっているのです。その理由は、せっかく電球を発明しても、みんながその恩恵を被らなければ意味がないから。イノベーションの本質はそこにあって、電球を発明するだけでは、社会は変わりません。

先行者「日産リーフ」がテスラに敗れた理由

内田和成(うちだ かずなり)/コンサルタント。東京大学工学部卒業。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月までBCG日本代表、2009年12月までシニア・アドバイザーを務める。2006年には「世界の有力コンサルタント25人」(アメリカ『コンサルティング・マガジン』)に選出された。2006年より2022年まで早稲田大学教授。著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』(以上、東洋経済新報社)などが多数(写真:本人提供)

内田:最近の例では、電気自動車というと、テスラの車が高く評価されています。日産のリーフのほうが先行したのに、なぜ普及しなかったのか。実は、電気自動車の普及でいちばんのボトルネックは充電設備です。アメリカは広大で、ベンチャーのテスラには、自力で全国に設置するだけのお金や体力がない。そこで、環境に配慮した車を選んでいた高所得層が住む地域に絞ってマーケティングして、充電ステーションを置いた。そこにはマーケットがあるので、採算もとれる。それで広がったのです。

つまり、テスラはどうすれば効率的に充電ステーションを配置できるかを考えたから普及したのであって、素晴らしい電気自動車をつくったからではないのです。

:面白いですね。この質問をしたのは、内田さんの本は、ここ最近のパラダイム変化による現象を捉えたものかなと思ったからです。たとえば、クラウドサービスが出てきて、ソフトウェアがサービス化し、より体験型になって、より多くの人の行動が変わらないと使ってもらえないとか、デザイン思考もユーザー中心に行動変容までしっかりと見ないと、何も解決できないというもので、これも2000年以降の流れです。

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