「日産リーフ」より「テスラ」がEVの主役になった訳 イノベーションなんて誰も使いたがらない理由
仮説思考と科学的思考はどちらがイノベーションにふさわしいのだろうか。早稲田大学ビジネススクール(WBS)のゼミ生との研究成果をまとめた『イノベーションの競争戦略』の編著者である内田和成氏と、科学的思考法を学ぶ授業をベースにした『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』の著者である牧兼充准教授が、八重洲ブックセンター本店で、イノベーションについて2時間近く語り尽くした。今回は後編をお届けする(前編はこちら)。
「イノベーション=技術革新」という誤解
牧:内田さんの本で面白いのは、「イノベーションは行動変容だ」と言い切っているところで、実務家にもアカデミアの人にも腹落ち感があると思います。これは内田さんのオリジナルの考えでしょうか。
内田:本で提唱した「イノベーション・ストリーム」はゼミ生と一緒に考えました。私の100%オリジナルといえるのは、トライアングルの部分です。このトライアングルは技術革新、社会構造、心理変化で構成されています。この3つが相まって、価値創造が起こる。イノベーションは技術革新だと誤解されているけれど、社会構造、心理変化も重要なファクターだと思います。
これだけでも本が1冊書けると思っていますが、ゼミ生たちと一緒にいろいろな成功事例を見ていくと、最後に消費者のハートをつかんだほうが勝ちということが見えてきました。つまり、それは価値創造が誰によってなされたかとは関係なさそうだと。そう議論する中で、顧客の態度変容、行動変容が起こって、創造された価値が初めてイノベーションになる。
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