「日産リーフ」より「テスラ」がEVの主役になった訳 イノベーションなんて誰も使いたがらない理由

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内田:一方、採用で苦労している企業が、違う人を採ったらどうだったかというのは、絶対に試せない実験です。厳密にやるなら、100人中50人は従来基準で採用し、あとの50人は本来の不合格者を採用して、2年後、3年後、5年後、10年後に、どちらの群がよかったかを検証しないといけない。これをメンバーシップ型の雇用を行っている日本企業で実行することは不可能。ただ今は、割とそれに近いことができる環境になっています。ウェブの世界でジョブ型の雇用なら、今まで採用しなかった人を採って、ダメなら、さよならというのも可能かもしれませんね。

:そういった分析手法を専門用語で「自然実験」と呼びますが、確かに、今の時代にはアカデミックな検証もやりやすくなっていると思います。

本は「興味」で読んで、「実践」へ

『イノベーションの競争戦略』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

:私の本『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』は少し難しいので、すべてを理解しようとするよりも、パラパラとめくって、自分にとってわかりやすいところ、興味がもてるところから読み込んでいただければと思います。たとえば、行動変容であれば、ピア・エフェクトの話が出てきます。付き合う人を変えて、定期的に会うようにすると、行動変容が継続しやすくなると思います。

内田:本には2種類あると思います。正しいけど面白くない本、正しくないかもしれないけれど、面白い本(笑)。『イノベーションの競争戦略』は後者でしょう。大事なのは、本を読んでヒントや気づきが得られたら、それを使えばいいし、実体験とは違うと感じたら、そういう問題意識を持って、本格的に勉強したり、実践したりすればよいと思います。まず自分が興味を持つことが大事だと思います。

内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授

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うちだ かずなり / Kazunari Uchida

東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空株式会社を経て、ボストン コンサルティング グループ(BCG)入社。2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。2006年度には「世界の有力コンサルタント25人」に選出。
2006年から2022年3月まで早稲田大学教授。早稲田大学ビジネススクールでは意思決定論、競争戦略論、リーダーシップ論を教えるかたわら、エグゼクティブプログラムにも力を入れる。
主な著書に、『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『アウトプット思考』(PHP研究所)、『できるリーダーが意思決定の前に考えること』(日経ビジネス人文庫)など、ベストセラー・ロングセラーが多数ある。

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牧 兼充 早稲田大学ビジネススクール准教授

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まき かねたか / Kanetaka Maki

1978年東京都生まれ。2000年慶應義塾大学環境情報学部卒業。02年同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。15年カリフォルニア大学サンディエゴ校にて博士(経営学)を取得。慶應義塾大学助教・助手、カリフォルニア大学サンディエゴ校講師、スタンフォード大学リサーチアソシエイト、政策研究大学院大学助教授などを経て、17年より現職。カリフォルニア大学サンディエゴ校ビジネススクール客員准教授を兼務するほか、日米の大学で理工・医学分野の人材育成、大学を中心としたエコシステムの創生に携わる。専門は、技術経営、アントレプレナーシップ、イノベーション、科学技術政策など。

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