インスタグラムのプロフィールの1行目に「ビーガン〔動物由来の食材を口にしない厳格な菜食主義者〕が世界を変える」と書き、ビーガンのイベントによく参加し、まわりの友だちも同じビーガン――。
こういったケースは明らかにビーガンを自分のアイデンティティにしているが、数が多いのは、もう少し境界線がゆるやかな人たちだ。「私は○○です」というほどの主張をするわけでもなく、特定の集団に所属しているわけではなくても、その人がアイデンティティの一部と見なしている考えはある。
専門家の意見はどこまで正しいのか
次の8つが、自分の思考がアイデンティティ化しているサインである。
サイン2 批判されるとムッとする
サイン3 挑発的な言葉を使う
サイン4「絶対に私が正しい」という口調で話す
サイン5「イデオロギーの門番」のような視点を持つ
サイン6 他人の不幸を喜ぶ
サイン7 相手側に対し蔑称を使う
サイン8 自己弁護をする
思考をアイデンティティの一部にするのが問題なのは、クリアに思考する力が損なわれてしまうからだ。ある思考を自分と同一視すると、その正しさを守らなければならないと感じ、それを裏づける証拠を集めたがるようになる。
自分や自分が所属する集団の意見を攻撃しているように感じられる議論を、反射的に拒絶するようにする。ある考えに同意するのと、それを自分のアイデンティティの一部と見なすのは同じではない。
ジャーナリストとして働くアダムは、以前、ワクチン懐疑論者を軽蔑していた。
「僕は、懐疑論者のワクチンについての考えが間違っていると思っていただけではなく、自分は彼らよりも分別があり、知的だと信じていた。(中略)ワクチンに対する疑問を誰かが口にしたときは、いつも『やれやれ』といった感じであきれていた」
アダムの態度が変わりはじめたのは、のちに妻となるシングルマザーの女性と知り合ってからだ。彼女は、自分の子どもにワクチン接種をさせることをかたくなに拒んでいた。
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