ここ最近の心理学のトレンドは人間の「自分をだます能力=自己欺瞞」である。メディアでも話題になり、人間の脳がいかに「自分をあざむく」ようにできているかが白日の下にさらされてきた。
そもそも人間は自分のミスを認めるのが下手である。自分が間違ったことをしでかしても、相手に謝るどころか、ミスなどなかったかのように自分を正当化する。
「自分は正しいことをした、間違っているのはおまえのほうだ」と言い募る人がいるのも、人間の自然な心の働きだとすれば納得だ。
自分にうそをつくことには心を平安に保つという利点もあるが、正しい判断ができなくなるという大きな欠点がある。
全米でロングセラーになっている『マッピング思考:人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』の著者ジュリア・ガレフは、「自分をだます」ことに頼らない発展的なアプローチを提案している。そのキーワードは、「誠実さ」である。
人間には、自分にうそをつく習性がある
人間には「基本的にすべてはうまくいっている」と感じたいという基本的な欲求がある。「自分は人生に失敗していなし、世界は恐ろしい場所ではないし、どんなことが起ころうともなんとか切り抜けられるはずだ」と思いたいのだ。
日常生活において、気分や自尊心を脅かされることは頻繁にある。独立して事業がうまくいっていないと、「会社をやめたのは間違いだった?」といった不安が脳裏をよぎることもあれば、上司に反論したときに「彼を怒らせてしまったかもしれない」と他人に直接批判されることもある。難しい選択を迫られることもあれば、何かに失敗することもある。
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