「『地球温暖化の原因は人為的なものではない』と信じるのは、科学的知性が低い人」――そうとらえる人がほとんどだろう。相手が科学的なデータに反するような意見を持っているとき、私たちは「なんて愚かなんだ」と断じたくなる。しかし、現実はもっと複雑だ。イェール大学の調査では、科学的知性が高い人ほど「思考が二極化する傾向がある」とわかった。なぜ知的な人が極端な考え方を持ち、自説に固執し、さらにはフェイクニュースにまで引っかかってしまうことがあるのか。世界17言語で翻訳されている『マッピング思考:人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』の著者ジュリア・ガレフは、知的な人ほど「自分は正しい」というパラドックスに陥って、真実を見分けられなくなってしまうと、分析する。
「知的な人はだまされない」の真偽
SNSに誰かが投稿したとてつもなく愚かな意見を目にしたとき、私たちは思わず「なんてバカなんだ!」とつぶやいてしまう。疑似科学にまみれた記事を読んでは、「今の時代には、もう客観的事実や科学的根拠は求められていないのか……?」とため息をつく。
ジャーナリストも、大衆の「無知のカルト」や「反知性主義」を厳しく批判している。こうした状況は、「言論の問題点は、知識や知性の不足にある」と考える人が多いことを示唆している。
「人々がもっと知識を増やして賢くなれば、間違いに気づけるのではないか?」というわけだ。それは、本当だろうか?
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