ただし、自分にうそをつき続けていると、正しい判断ができにくくなるというマイナス面がある。自分以外の何かのせいにするのではなく、自分の力で挫折から立ち直る方法、つまり「誠実なコーピングの手法」は見つけられる。「自分の脳をだまして幸せになろう」とするより、よい対処法があるのだから、私たちはもっとそちらに目を向けるべきだ。
その代表的な方法として、次の3つを紹介する。
①「架空の行動計画を立てる」
以前、私はある友人に対して配慮を欠く行為をしてしまったことがある。1週間ほどずっと「謝るべきだろうか?」とズルズル考え、「いや、大丈夫。きっと彼女は気づいてもいない」と自分に言い聞かせたり、「もう許してくれているはずだ」と思ったりした。
グルグルと自問自答をくり返した揚げ句、最後に、頭の中で、それとなく伝えられそうな謝罪の言葉を思い描いてみた。思っていたよりもカンタンにその場面を想像できた。答えははっきりしていた。
「うん、できる。謝るべきだ」
具体的な行動を頭に思い浮かべてみると、都合の悪いことを「ありえない」と決めつけてスルーすることはなくなる。行動はカンタンなことでOKだ。「このミスをチームにどう説明するか」「転職活動のためのリサーチはこんなふうに始めよう」といったシンプルなものでいい。
視点を変えると、対処法が見つかる
②「ものごとのポジティブな側面に目を向ける」
私は誰かと議論をしている最中、「自分の主張は正しいと思って議論をしていたが、ひょっとしてそれは間違いかもしれない」という疑念が忍び寄ってくることがある。その感覚は決して居心地のよいものではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら