中学受験「早慶付属校」に挑んだ少年の怒涛の結末 「学校がつらい」わが子と親が歩んだ6年の軌跡

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保護者への学校公開日に教室を訪れても、荒れた様子がうかがえた。授業中に先生の話をそっちのけで雑談に花を咲かせる子どもたち。2年生、3年生と学年が上がっても、学級崩壊のような状況が続いた。

あるときは授業中にもかかわらず、クラスでケンカが始まったという。「うちの学年を持った先生は途中で辞めてしまう方も多くて、先生方も大変だったと思います」(母親の小百合さん)

中学受験をして外へ出たほうが良いかもしれない――。両親はそう考えるようになった。

軽い気持ちで受けた全国模試での気づき

加えて、陸くんの成績の良さも受験を考えるきっかけとなった。陸くんは幼稚園時代から習い事として、花まる学習会という教室に通っていた。都会暮らしの家庭から人気を集めるこの教室では、自然とふれあうイベントなども行われている。三木一家が入会を決めたのも、そんな体験学習に惹かれてのことだった。

この習い事以外は自宅で特別に勉強をしていなかったが、小学1年生の時に軽い気持ちで受けさせた四谷大塚の全国模試で、陸くんは全国3位の成績を取った。すると塾から連絡が入るようになる。

「特待生としてうちの塾に通いませんか?」「お子さんの成績なら難関校が狙えます。特待生になると授業料もかからない。どうでしょう?」

そう言われて悪い気のする親はいないだろう。本人と塾の見学に行き、入塾を決めた。

陸くんにとっては荒れ放題の学校に比べ、塾は居心地の良い空間にもなった。低学年のうちは週1回の通塾で、授業も淡々と進んで行く。何の問題もなく、通塾は日常に溶け込んだ。だが、中学入試に向けてのクラスが見え始めた3年生あたりから、母親の小百合さんに迷いが生まれた。

塾に不満はない。それは、母親の勘でしかなかったのだが、小百合さんから見ると、陸くんにとっては授業が淡々としすぎているような気がしたという。

自宅から通える塾をいくつか見学するうちに、都内2箇所で教室を開校している難関校受験専門の塾に出合う。見学に行くと、大学受験予備校ばりの熱血講師がテンポ良く授業を進めていた。

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