「IT系インド人最強説」の気になるその後 あの海外アウトソースブームはどうなった?

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その中で私は誰のかわからない送別会によく参加していました。

あ、いえ……。

誘われたのでつい……。

送別会は居酒屋で開催されていたのですが、インドの方が集まる和風の居酒屋のそのテーブルだけが、やはりリトルインディアでした。

え? 仕方がなかったから?

何がきっかけだったか覚えていませんが、私は飲みながら、何気なく、隣に座っていたインドの方に、

どうしてこの仕事を選んだのか

と聞いてみました。すると日本に移り住んで15年の彼は、

「仕方がなかったからだよ」

と答えました。仕方がなかった? いったい何が仕方がなかったというのでしょうか。このときの私にはわからなかったのですが、彼と話しているうちにだんだんとわかってきました。

インドではヒンドゥ教が主な宗教です。ヒンドゥ教では階級制度があり、その階級で決められた仕事しか就くことができません。階級によっては清掃関係の仕事などにしか就くことができず、貧困が連鎖していくことになります。

しかし、彼らはヒンドゥ教の教えに書かれていない職業には就くことができる、それがITの仕事なのです。そのため、教育のチャンスを得ることができたインド人たちは、IT系の職業に就き、よりよい職を求めて世界中を渡り歩くことになります。

おぉ、なんということでしょう。職業選択の自由が宗教によって制限されているなど、日本でドメスティックに生まれ育った私は想像もつきません。私は自分の無知に恥じ入りました。

彼は言いました。

「おカネのために世界中を回って、妻子を養うために何でもやった。生きるためだよ」

生きるため。

日本にはなんでもあります。ある程度保護され、よほどのことがなければ飢えて死ぬことはありません。生活のために国を出るなんて、あまり想像のつかないことでしょう。

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