Z世代の8人組コント「ダウ90000」のスゴい実力 南キャン山里や東京03も絶賛、ABC決勝に進出も

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こうした手法は、1980年代~1990年前後の演劇界でも見られたものだ。たとえば松尾スズキが主宰する劇団「大人計画」では、とある1人の女性の気持ちを、その背後にいる複数人(10人程度の男女が縦長のひな壇形式で立っていたと記憶する)が代わりに発し続け、相手の男性を思い悩ませるという演出で会場を沸かせた。

またそのほかの劇団では、例えば「○○は、○○をする英雄だった」といった短いナレーションに対して、いち早く反応した演者から役が決定していく。しかし、後のナレーションで格好悪い一面が追加されるごとに役のなすりつけ合いが始まる、というユニークな手法も見られた。

ダウ90000の公演で脚本・演出を手掛ける蓮見は、当然ながらこれらの劇をリアルタイムで見ていた世代ではない。しかし、YouTube動画などを通して目にしていた可能性も考えられる。

いずれにしろ、1980年代カルチャーが再注目を浴びる昨今、コントライブでかつての演劇界とのシンクロが見られるのには、感慨深いものがある。

男女8人組という珍しさと、独特な世界観で着実にファンを獲得しているダウ90000。その一方で、大人数でのコントユニットは、それほど長く続かないケースが多いのも事実だ。

一時的な活動に終わる場合も

歴史をさかのぼると、1980年代にはシティボーイズ、中村ゆうじ、いとうせいこう、竹中直人らによるラジカル・ガジベリビンバ・システム、1990年代には明治大学の演劇サークルのメンバーで結成されたジョビジョバが登場し、2000年前後にはバナナマン、おぎはやぎ、ラーメンズを中心とした芸人によるユニット、コント作家によるワークショップで結成されたユニットなど、コントユニットは幅広い土壌から生まれた。

もちろんテレビの世界でも、ビートたけしや明石家さんまらの『オレたちひょうきん族』、ダウンタウンやウッチャンナンチャンらの『夢で逢えたら』(ともにフジテレビ系)など別々の芸人たちがコントで共演することはあった。

しかし、これらはあくまでも番組の一つであり、内容をある程度大衆向けに寄せざるをえない。これに対してライブシーンは、演劇的で自由度の高い世界観を放つことができる。その意味で文脈が異なるのだ。

ライブシーンのコントユニットの多くは、知名度の低い若手がタッグを組んで定番のコントライブとして盛り上げ、ユニットならではの面白さを打ち出すことで、作品性や付加価値を高めている。

ただし、とくに演劇サークルから派生したグループはメンバーに役者志望も多いことから個々の活動が目立つようになり、芸人のコンビやトリオを組み合わせて結成されたユニットの多くは一時的な活動に終わるケースがほとんどだ。単体としての活躍を優先しているのと同時に、大所帯による活動の継続はコスパが悪いという側面もあるからだろう。

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