Z世代の8人組コント「ダウ90000」のスゴい実力 南キャン山里や東京03も絶賛、ABC決勝に進出も
ダウ90000は、「劇団」とも「コント集団」とも“あえて”名乗っていない。演劇の本公演も行えば、コントライブも開催する。またM-1グランプリやキングオブコントなどジャンルの異なる賞レースにも顔を出す。
この点について蓮見はこう語っている。
「演劇かコント集団かどちらかに決めてしまうと、どっちかの仕事しか来ないのがいやだった。いろいろやるためには、今みたいに『8人組』とだけ言っておくのが一番いい」(2022年2月7日に公開された「bizSPA!フレッシュ」の「M-1グランプリで話題の“8人組”主宰が語る、諦めと強み『ずっと芸人になりたかった』」より)
これに加えて、蓮見は「はりねずみのパジャマ」時代からYouTube動画を投稿し、noteでライブを告知したり日記をつづったりと、積極的にネットを活用している。こうしたフットワークの軽さも、若い世代ならではだろう。
新感覚のコントスタイル
コントでの見せ方という部分でも、お笑いのコント師とは一線を画している。
これまでのコントユニットは多くて6人。基本的に全員男性の集団がほとんどだった。一方で、ダウ90000は男女4人ずつの8人だ。一時的なユニットライブではなく、これだけの大人数が、固定メンバーで活動するのは極めて珍しい。
今年5月に行われた単独ライブ「10000」では、彼らの強みがいかんなく発揮されていた。
久々に再会した同級生(蓮見)が中学から10年間変わらず友人関係を続ける男女に一石を投じる「今更」、どこか気弱な求職中の男性(上原佑太)が異常にマイペースな就職支援施設の女性(忽那文香)に振り回される「転職」、浮気がバレそうになると絶妙に機転を利かせる女性(吉原怜那)の「即興」など、若い男女ならではの状況設定やワードセンスが光る。
冒頭の『ABCお笑いグランプリ』で披露していた「独白」でも、独特のセンスが光り、いわゆる「お笑いのコント」とも異なる点が見られた。
独白とは、登場人物の心情を観客に向かって吐露する演出技法だ。1人が独白している間、ほかの演者には独白している人物の声はまったく聞こえない。
だが今回のダウ90000のコントでは、独白が終わる前に話し掛ける、1人を残して7人が一斉に独白する、特定の1人だけ周囲に独白が聞こえてしまう、という不思議な光景が展開された。
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