ウエルシア、「都市店攻略」へ横たわる2つの難題 都市型のコクミン買収に錯綜する期待と不安

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ドラッグで初めて売上高1兆円を突破した業界最大手のウエルシアHD。コクミンの買収により、都市部展開を強化する(記者撮影)

「ウエルシアグループ加入のお知らせ」――。

都市部を中心にドラッグストア「コクミンドラッグ」や「KoKuMiN」などを運営するコクミンが6月、ドラッグ最大手のウエルシアホールディングス(以下、ウエルシア)の完全子会社化となった。ウエルシアの公表資料によると、株式取得額は約203億円という。

1935年に大阪で創業したコクミンは、1965年に東京へ進出。現在は大阪や東京を中心に165店舗を展開している。

強みは、鉄道事業会社との関係性を生かした駅ナカや商業施設内の店舗立地、そしてカウンセリングでの化粧品販売だ。現在の社長を務める絹巻秀展氏は、創業者の孫にあたる。

駅前や繁華街が中心の立地に加え、化粧品の売り上げ構成比が高いことから、コロナ前はインバウンド需要の追い風を受けていた。2019年度は売上高628億円、営業利益5億円を記録したが、2020年度には急降下。売上高は398億円と4割近くの減収、営業損失は27億円にまで膨らんでいた。

「あの立地は買収以外では手に入らない」

「インバウンド需要が戻ってくるという前提に立てば、いい立地を手に入れたのでは」。コクミンの買収について、ある競合ドラッグの幹部は肯定的な見方を示す。ただ、市場関係者らの間では「ウエルシアがコクミンを立て直せるのか」といった不安が錯綜している。

4月に行われたウエルシアの決算会見。アナリストからは「コクミンの買収は、シナジー効果が出ないと割に合わないのではないか」と厳しい質問が飛んだ。

これに対し、ウエルシアの池野隆光会長は「割高という考え方もあるだろうが、あの立地を(買収以外で)とることはできない」と回答。都市部の好立地に構える店舗網が、買収の大きな狙いだと強調した。

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