ウエルシア、「都市店攻略」へ横たわる2つの難題 都市型のコクミン買収に錯綜する期待と不安

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訪日観光客の激減や在宅勤務の浸透を受け、ドラッグ各社の都市部への出店意欲は目下冷え込んでいる。都市型ドラッグの代表的存在「マツモトキヨシ」の年間の店舗純増数(出店数から退店数を引いて算出)を見ると、コロナ影響が本格化する前の2020年3月期は63店だったのに対し、現在は40店舗程度で推移する。

対照的に活況を呈しているのが、ウエルシアが主力とする郊外型の店舗だ。福岡が地盤で「ディスカウントドラッグコスモス」を運営するコスモス薬品や、北陸最大手のクスリのアオキホールディングスは、郊外で年間100店以上の出店を今も続けている。

ドラッグ各社の攻勢により、郊外ロードサイド立地の店舗賃料は高騰が続いている。あるドラッグ大手の幹部は「当社の収益基準に見合う店舗がなかなか出てこない」と悲鳴を上げる。

主戦場とする郊外は、陣取り合戦が激化するばかり。その間にインバウンド回復を見据えて都市店を強化しておきたいというウエルシアの意図が、コクミンの買収から透けて見える。

都市型店の成功モデルを持っていない

池野会長は決算会見で、「コクミンは持っている土地を活用しきれていない。繁華街の店舗については、今まで販売していた商品を変えることで粗利益率がそうとう改善する」と自信をのぞかせた。スケールメリットを生かした仕入れによる取引条件の改善と、ウエルシアが得意とする調剤薬局の併設を進める方針だ。

ただ、ドラッグストア業界を長年見ている大和証券の川原潤氏は「(ウエルシアは)都市型店における成功モデルを持っていない」と指摘する。業界内でも、シナジーを創出するに当たってウエルシアに都市型店の運営ノウハウが不足していることを懸念する声は少なくない。

埼玉県郊外が発祥のウエルシア。2015年にはCFSコーポレーション、2019年には一本堂と、都市型店を持つドラッグも買収しているが、これまで買収により手中に収めてきた店舗も多くは郊外店だった。

狭い店舗面積で高い家賃を支払う都市型店では、利益率の高い商材を効率よく販売しないと収益を十分に確保できない。幹線道路沿いに駐車場を併設した大箱を構え、食品などの品ぞろえで集客する郊外店とは稼ぎ方が大きく異なる。

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