人と同エリアに入らない「パンダ間接飼育」の意味 ひとり立ちと間接飼育を開始、楓浜成長の記録

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アドベンチャーワールドで生まれ育ったパンダとして17頭目になる楓浜。これまですくすくと育ってきた。最初に食べたものはリンゴで、2021年5月11日に食べた。1歳1カ月頃には、乳歯のほとんどが永久歯に生え変わり、糞に竹が混ざり始めた。竹を食べられるようになったということだ。2021年11月22日の1歳の誕生日会には、大阪にある中国総領事館の薛剣(せつ・けん)総領事が来て、リンゴをプレゼントした。

6月下旬時点では、1日に約10㎏の竹のほか、リンゴ、ニンジン、動物用ビスケットを食べている。春はタケノコも入荷するので、楓浜は2022年5月下旬時点でタケノコも少し食べている。タケノコは柔らかくて栄養豊富なため、野性の赤ちゃんパンダの離乳食になることもある。楓浜にとっても食べやすそうに思えるが、中谷さんはこう指摘する。

「タケノコは竹に比べ水分量が多く、カロリーも高いので、与えすぎるとお腹を壊しかねません。子どものパンダに限らず、大人のパンダもタケノコを食べすぎると、お腹を壊すまではいきませんが、ウンチが柔らかくなり、普段のラグビーボール状ではなくなることもあります。ウンチの状態も見ながら与える量を決めています」

1歳の誕生日に「直接飼育」でスタッフからリンゴをもらう楓浜。2021年11月22日(筆者撮影)

2歳をメドにミルクは終わり

ミルクについては、楓浜が2022年4月12日にひとり立ちするまでは母乳を中心に育ち、補助的に人工乳「PANDA MILK-10」(パンダミルク-10)を与えていた。ひとり立ちしてからは人工乳だけだ。

人工乳を飲む量は、2022年1月中旬時点で1日に400mlだった(参照:『世界初パンダ専用ミルク「日本」で開発の深い事情』)。だが5月下旬時点では、1日に1500mlほどを数回に分けて飲んでいる。

アドベンチャーワールドでは、基本的にどのパンダも2歳の誕生日をメドに、人工乳を与えるのをやめている。「楓浜が竹をたくさん食べられていると判断したら、ミルクの量を減らしていき、2歳のときにゼロになるようにします」(中谷さん)。

楓浜はどんな性格なのだろう。月齢や飼育スタッフの捉え方によっても異なるが、現在は好奇心旺盛な性格がいちばん強く、運動場や遊具に興味を持っているそうだ。

このほかの性格としては、比較的おとなしい点が挙げられる。「桜浜ほどマイペースで、のんびりした感じではありませんが、同じ月齢の頃で比べると、結浜と彩浜のほうが活発でした。楓浜は、ゆったりと竹を食べる時間が長く、ほかのきょうだいと比べると、おとなしいほうかなと思います」(中谷さん)。

ひとり立ちと間接飼育を経験しながら、着実に大人への歩みを進めている楓浜。これからも成長が楽しみだ。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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