人と同エリアに入らない「パンダ間接飼育」の意味 ひとり立ちと間接飼育を開始、楓浜成長の記録
楓浜は2022年4月12日にひとり立ち(親離れ)を果たすと同時に引っ越した(参照:『和歌山のパンダ「ひとり立ち」と同時に引っ越す訳』)。誕生時から暮らしてきたのは、両親の永明(えいめい)と良浜もいる「ブリーディングセンター」。新居は、そこから徒歩5分ほどの場所にあり、3頭の姉がいる「パンダラブ」だ。
1頭での生活をスタートする楓浜が楽しく過ごせるように、飼育スタッフは「ブリーディングセンター」で楓浜が使っていた遊具も持っていった。飼育スタッフの中谷有伽さんは「遊ぶ、採食するといった選択肢を増やすためにも、運動場に出すおもちゃや竹の種類は、少し多めにしています」と説明する。
さらに楓浜の引っ越しに合わせ、「パンダラブ」の屋外運動場には遊具を4月27日に新設した。楓浜だけでなく、ほかのパンダも過ごしやすいように設計している。
例えば、パンダが高い場所で竹を食べたり寝たりできるように、遊具のてっぺんには、広々としたスペースを確保した。「パンダラブ」にいるパンダたちの5月下旬時点の体重は、楓浜の55kgに対し、桜浜と桃浜は約110kg、結浜は約105kgで、楓浜のほぼ倍。大きな体つきになっている。新しい遊具は、こうしたパンダたちも、ゆったり過ごせるつくりにしている。
遊具や木の高さを決めるポイントは?
一方で、子どものパンダは高い木に登るのが好きだ。これは、野生の子パンダが外敵から身を守る習性のためとされる。筆者は中国・四川省の広大なパンダの飼育施設で、のけぞるほど高い木に登った子パンダたちを見た。「パンダラブ」には、そこまで高い木はない。
中谷さんによると「遊具も含め、さまざまな検討をしていますが、なによりもパンダたちが安全に暮らすエリアであることと、ご覧いただくお客様にも危なくないようにすることを重視しています。例えば、大きな木を植えて、それが倒れて橋になり、パンダたちが運動場から出てしまうこともリスクとしては考えられます。そういったことを避けるためにも、いろいろ考慮しながら、遊具や木の高さを決めています」とのことだ。
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