和歌山のパンダ「ひとり立ち」と同時に引っ越す訳 そもそもなぜパンダは親元を離れるのか?

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じゃれつく楓浜(手前)と母の良浜。楓浜のひとり立ち前日の2022年4月11日(筆者撮影)
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1歳の雌のジャイアントパンダ楓浜(ふうひん)は、この3カ月の間に、成長の証しである2つの大きな経験をしました。前後編の2回に分けて紹介します。

楓浜ひとり立ちから3カ月

和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドで生まれたジャイアントパンダの末っ子、楓浜がひとり立ち(親離れ)して、7月12日で3カ月となった。

子どものパンダにとって、ひとり立ちは、成長するうえでの大きなステップだ。パンダファンの関心も高く、東京・上野動物園で生まれた雌のシャンシャン(香香)がひとり立ちする前日の2018年12月9日(親子一緒の最後の公開日)、筆者は観覧列に4時間並んだ。シャンシャンが無理なく安全にひとり立ちできるように、上野動物園は同年11月から段階的に練習を進めていたが、観覧列では「お母さんと離されてシャンシャンがかわいそう」と泣いている人もいた。

楓浜と母親の良浜(らうひん)が親子一緒に公開されたのは、2022年4月11日が最後。この日、筆者は早朝の飛行機で東京から白浜へ向かった。アドベンチャーワールドに着き、4800円の入場券を買って入り口前に並び始めた午前9時過ぎには、すでに150人ほど並んでいた。開園の午前10時近くになると、入り口前は大勢の人で埋め尽くされた。

入場すると、ほとんどの人が、入り口から徒歩10分ほどの場所にある「ブリーディングセンター」へ向かう。楓浜と良浜は、この外の運動場でじゃれ合っていた。時折、良浜が楓浜をギュッと抱きしめたり、覆いかぶさったりしている。観覧通路は多くの人で身動きできないほどだったが、話し声はほとんど聞こえず、観客は親子の様子をじっと見守っていた。

午前11時ごろ、屋内に通じる扉が開いて良浜が入ると、池にいた楓浜はトコトコと走って良浜を追いかけ、一緒に扉の奥へ入った。しばらくして楓浜だけが外に出てきた。これで親子一緒の最後の公開は終わった。

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