和歌山のパンダ「ひとり立ち」と同時に引っ越す訳 そもそもなぜパンダは親元を離れるのか?
楓浜は、休園日の4月12日にひとり立ちした。翌13日も休園日で、14日からひとり立ちした姿を観客にお披露目した。ひとり立ち後の楓浜は、落ち着いて竹やおやつを食べ、人工乳も飲み、穏やかに過ごしている。
一方、良浜はどうだったのだろう。良浜は、楓浜を含め10頭の子どもを無事に生み育ててきた。この数は、良浜の母親で、次々と出産して「浜家(はまけ)のゴッドマザー」と呼ばれた梅梅(めいめい、2008年死亡)を上回る。ただ、だからといって良浜が子どものひとり立ちに慣れているかは、筆者にはわからない。
楓浜と別れた後の良浜の様子について、飼育スタッフの中谷有伽さんに尋ねると、「良浜は数日間、落ち着かない様子を見せたこともありましたが、少し経つと落ち着きました。食欲も旺盛で、竹もしっかり食べています」とのことだ。
楓浜のひとり立ち前、スタッフは親子で過ごす時間を段階的に短くしていった。それにより、良浜が「もうすぐ娘とお別れ」だと理解していたかどうかは、スタッフにもわからない。
新居で暮らす練習は7日間
楓浜は2022年2月下旬から、ひとり立ち後に暮らす施設「パンダラブ」で過ごす練習をしてきた。以前から夜間などは良浜と別々に過ごしていたため、この練習は1頭で過ごすことよりも、「パンダラブ」に慣れることが目的だ。
「ブリーディングセンター」と「パンダラブ」の間は徒歩5分ほど。行き来する際は、楓浜をケージに入れ、スタッフがケージを押しながら歩いて運ぶ。
アドベンチャーワールドによると、ひとり立ちと同時に「パンダラブ」へ引っ越すのは、親子が互いの匂いや存在を近くに感じないようにして、子どもがスムーズにひとり立ちできるようにするためだ。
楓浜が「パンダラブ」で過ごす練習は、主に休園日を利用して合計7日間に分け、段階を踏んで実施した。時間は日によって異なり、1日のうち日中から夕方にかけて、およそ1時間~6時間半だ。楓浜は最初の頃、「パンダラブ」で初めて嗅ぐ匂いが気になり、外の運動場へゆっくりと慎重に出て行った。だが次第に慣れ、落ち着いて竹を食べるようになった。
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