山崎邦正⇒月亭方正の転身の裏に見た絶妙な導き 転身者が自分を変えようとする時の偶然の出会い

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40歳を超えて落語家に転じた月亭方正さん(左)と師匠の月亭八方さん(写真:日刊スポーツ新聞社)
今や、学校を卒業したら就職した会社で定年まで働き、老後は悠々自適といった人生設計は成り立ちにくい。多くの人が長い人生の中で何らかの変化を求められるとしたら…。
25万部突破のベストセラー『定年後』の著者、楠木新氏がさまざまな著名人、そして一般の人たちが何に悩み、どうキャリアチェンジを果たしたのかに迫った新著『転身力』より、落語家「月亭方正」に転じたお笑い芸人の山崎邦正さんの転身を紹介した章を一部抜粋、再構成してお届けします。(文中敬称略)
<参考文献:『僕が落語家になった理由』(月亭方正著、アスペクト、2013年)、『落語は素晴らしい』(月亭方正著、ヨシモトブックス、2018年)>

山崎邦正から月亭方正へ

「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系列)をはじめ、数々のバラエティ番組で人気を博していた山崎邦正は、40歳を目前にして落語に出合い、落語家「月亭方正」に転身して活躍している。

ここ数年、彼の落語を大阪の天満天神繁昌亭や神戸新開地の喜楽館などの定席や地域のホールで聴くことが多い。若い頃から噺家として活動している人とは一風違った趣があって、会場の雰囲気が切り替わる感じがある。もちろんテレビのバラエティ番組での活躍の影響もあるだろうが、噺家一本で来た人とのキャリアプロセスの違いが大きい。 寄席にもそうした多様性が大切だと私は思っている。

彼は1988年にデビューしたのち、テレビで「アホ、ヘタレ、おもんない」キャラで人気を得ていたが、40歳を目前にして、今後の芸能活動や自分の路線について悩んでいた。女性漫才師の海原ともこは、当時、山崎邦正が「ずっと漫才やってて(君らは)えらいなあ。おじいちゃんおばあちゃんばかりやのにあんなにウケるのはすごい。場数もやってるしな。俺には何にもないねん」と話しかけてきたことがあったとテレビ番組で語っている。彼女が山崎と仕事で一緒になった時のことだ。営業に行った時、海原やすよともこや後輩のブラックマヨネーズは漫才をやって爆笑を取れるが、山崎本人は20分の時間をもらっても目の前にいるお客さんを1人では喜ばすことができないと感じていた。

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