「就活で人生を諦めた」大卒27歳男性の生きる道 スーパーのアルバイトで得た社会との接点

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家庭教師は、3年以上同じ人に来てもらっていたという。その人と親しい関係が築けたからだろうか。

「嫌いだった。いつもボロクソ言われていたから」

やめたいと言わなかったのか。

「自分はそういう立場じゃない」

まじめすぎるほどまじめで、自己評価が低かった。他人には理不尽に思えることでも、悠さんは「自分が悪い」「自分のせい」だと思っていた。悠さんは、家庭でも学校でも、自己肯定感を育む機会に恵まれなかったように見えた。

大学の「学生相談室」に救われたが…

そんな悠さんに、ようやく救いの手が差し伸べられた。

一浪して大学に進学。入学時の健康診断で、「学生相談室」を紹介されたのだ。学生が抱えるさまざまな問題について、サポートしてくれる制度で、カウンセラー(臨床心理士)が心配ごとや困りごとを聞いてくれる。悠さんは週に1回、相談室に通うようになった。

カウンセリングでは、今の状況や、過去の出来事など、親にも言えなかったことを安心して話すことができた。いつも自分を待っていてくれる。そういう場所は、今までなかった。

「相談室がなかったら、大学は4年で卒業できなかったと思う。本当に感謝しています」

卒業した後も、1年くらい続けて相談室に通うことが許されたという。就職活動がうまくいかない悩みなども、聞いてもらった。しかし本来は、在学生が利用するための相談室。卒業して1年ほどたつとサポートは得られなくなった。

在学中から就職活動はやっていたが、うまくいかなかった。書類審査は通っても、面接で通らない。質問にうまく答えられないからだ。何社も受けたが、1つも受からなかった。

卒業後も就職活動は続けた。1年目は公務員を目指した。2年目は、「資格を取ったら就職につながりやすいんじゃないか」という母親のアドバイスで、資格の勉強をした。専門学校を受験したこともあるが、受からなかった。

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