「就活で人生を諦めた」大卒27歳男性の生きる道 スーパーのアルバイトで得た社会との接点
悠さんは、子どものときから人との付き合いが苦手で、おとなしい性格だった。弟ともあまり仲がよくなく、1人でゲームばかりしていたという。
「小さいころ、友達はいましたか?」と聞くと、「友達、いたのかな? ときどき遊ぶ子はいたけど、友達だったのかな……」と考え込んでしまった。
不運なことに、小学校ではいじめにあった。
「嫌われても仕方がない人間だったから」
寄り添ってくれる先生もいなかったし、母親は「相談できる相手ではなかった」という。
「それはつらかったでしょうね」というと、「相談できる相手が見つけられなかった自分が悪いんです」という答えが返ってきた。
学校や修学旅行に行くのが「普通」だと思った
小学校時代は、ほぼ毎日塾通いをしていた。なんとなく、中学受験をするのが当たり前と思っていたので、塾が嫌だとは思わなかった。
第1志望の中学には受からずがっかりしたが、「自分の実力なら当然かなと思った」
中学に入り、小学校のときの友達と離れられたのはよかったが、勉強では一気につまづいてしまった。「どんどんわからなくなってしまって、軌道修正できなかった」という。
中高一貫校だったが、中学でも、高校でも、友達は1人もできなかった。休み時間は、次の授業の準備をしたり、机につっぷして寝ているふりをしてやり過ごした。昼ご飯も1人で食べた。
「自分のなかではそれが普通だと思っていたし、そのままやっていくしかないと思っていた」
驚くことに、それでも学校を1日も休まなかった。
「どうして? 学校に行くの嫌じゃなかったの?」と聞くと、こう答えた。「病気でもないのに、休むのはおかしいと思ったから」
修学旅行にも参加したという。友人のいない悠さんは自由時間にひとりぼっち。さぼろうとは思わなかったのだろうか。
「行くのが普通だと思ったから。行かないなら、明確な理由がないとダメだと思った」
高校生になると、有名な国立大学を目指して家庭教師について勉強をした。
「小学校のころから、周りの子よりもたくさん勉強してきたというプライドがある。ある程度のレベルの大学じゃないといけない」。しかし一方で、自信はなかった。「自分は頭がいい人間じゃない」