現状の原油高は行き過ぎ。80~90ドルが適正水準《アフリカ・中東政情不安の影響/専門家に聞く》

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 
芥田 知至 主任研究員

--今後の原油相場の見通しは。

今の原油価格は高すぎる。このレベルは持続しない。つまり、今後は早晩下落に向かうだろう。

2010年の原油価格の平均価格は約80ドル/バレルだったが、足元ではリビア情勢緊迫化で北海ブレントは110ドル台に乗せている。原油価格が80ドルから100ドルへと20ドル上昇すると、消費国から産油国へ年間6000億~7000億ドルの所得移転が行われる計算になる。これは、世界のGDPの1%に相当する。つまり、石油の消費国の成長率が1%そがれることになる。120ドルまで上昇すれば、さらに1%低下する。今の先進国の経済状況ではそれは吸収できず、景気減速感が強まるため、100ドル以上の価格は持続しないだろう。すでに株価にも影響が出始めている。

現在の経済情勢は、生産活動の水準などでいえば08年のピーク並みであり、その頃の原油価格は80~90ドルぐらいで推移していた。その程度を適正水準と考えても、あまり違和感はない。

--08年7月にはWTI原油先物が一時147ドルまで暴騰した。

当時起きていたような投機が起こるかといえば、可能性は低いと見ている。147ドルが行き過ぎだったというのを市場は経験しており、上値に目安があるときに、バブルが拡大していくのは難しい。上値に目安がないからこそ、勇気を持って買い進む人がいるわけで、今回は当時と比べて上がりにくくなるはずだ。

また、昨年11月の米国の量的緩和によって昨年後半、原油など商品価格が上昇したが、今では米国の追加緩和観測は後退し、先進国の金利は上昇し始めている。デフレ観測が基調として後退し、景気見通しの極度な悲観論が後退する中で、金利水準が上昇し、それに伴ってコモデティ価格に抑制圧力がかかりやすくなっている。

--そうすると今の適正水準は80~90ドル程度ということか。

そうだ。それを上回っている部分は行き過ぎだと考えられる。さらに中東情勢が緊迫化すれば、価格を押し上げるかもしれないが、中東情勢が現状維持では今の価格を維持するのは難しい。原油高の景気に対する下押し圧力が効いてくるし、高い石油製品を見合わせるような動きが出てくるだろう。

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