現状の原油高は行き過ぎ。80~90ドルが適正水準《アフリカ・中東政情不安の影響/専門家に聞く》


--政変がサウジアラビアやイランなどへ波及した場合、どうなるか。

万一、そうなった場合は、原油価格は途方もなく上がることになるだろう。リビアだけなら日量160万バレルの生産量であり、(それが止まっても)サウジの余剰生産能力で十分吸収可能だ。ところが、サウジが万一、反政府勢力によって国営の石油施設を占拠されれば、石油不足懸念が深刻化し、第一次石油ショック時のような価格高騰が起こりかねない。

イランの場合については、それほど輸出余力のある国ではなく、それほど好まれている原油を多く生産しているわけでもない。イランからの輸出が滞ったとしても、サウジが精いっぱい増産すれば賄うことができるだろう。ただ、日本はイタリアや中国と並んでイランから原油供給を受けており、日本にとってはあまり好ましい状況ではない。

--現状では、実害はどうか。

リビアについては反政府勢力が石油施設を占拠し、一部の石油の出荷に影響が出始めている。

エジプトについては、政権は転覆したが、秩序は回復されている。そうすると、誰もスエズ運河を止めるメリットはない。石油を通して収益を上げたほうが、エジプトにとってもメリットがあるとの判断が働くのではないか。

--日本にとっての影響をどう見ているか。

日本にとっては、サウジやUAEの供給が大きい。両国とも基本的には豊かな国で、UAEは開放的な国でもある。エジプトやリビアほど専制的な政治に不満が強まるとは思えない。そうはいっても抗議デモはいくつか発生しており、ムードの波及は懸念される。

08年に比べると、今は円高が進んでおり、原油高の影響は若干緩和されている。相対的には欧州が厳しいだろう。ユーロが安くなっている中で、北海原油に逼迫感が出ており、景気への影響が出やすくなっている。

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