「尊敬する人」探しが自分の成長につながらない訳 どんな人からも学べるようになることが重要

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自分の弱さや至らない点をキチンと理解したうえで学び、成長し、その過程で対応策を身に付け、完璧でない自分を好きになれるかどうか。これが重要です。

対応策というのは、もちろん人によって異なります。例えば、弱みの克服に注力せず、とことん自分が強い分野を伸ばすことで人生に折り合いをつけるとか、弱いとわかっている部分をキチンと補うような行いをするとか、さまざまです。

そうすることで人には個性が生まれ、その個性を醸成する過程において自分自身を知り、自分のベストな生き方を知るということになるのです。

そして、自分の人生にとっての理想やベストを見い出したとき、つまり自分にとっての幸せの形を見い出したとき、おそらく人は完璧ではないものの、自分にとって心地よい人生を送ること事ができるのでしょう。

大事なのは「自分にとって」の指標

もちろん、理想の形は個人によって異なりますから、すべての人から見て幸せというのではなく、あくまでも「自分にとっての幸せ」という意味ですが。

そのようにして、自分の至らない点を含めて自分を理解し、好きになれる人は、他人の至らなさや弱さを受け入れ、理解し、そのうえでよい人間関係を築くことができるのです。つまりは、自分だけなく他人にも完璧を求めない、というスタンスですね。

それにより相手に尊敬の念も生まれますし、個性を受け入れる器量も身に付けることができるのです。多様性を理解し、受け入れることができるようになるということです。そしてそれは、人間社会が多様性において成り立っているがゆえに、人間関係の構築において非常に重要なのです。

本題に戻りますと、頂戴した内容を拝見するに、YKさんは「すべてにおいて完璧な人」を探してしまっているように思え、なおかつ、尊敬する対象にはすべてにおいて完璧であることを無条件に求めてしまっているように思えます。

そしてその完璧とは、「YKさんの基準における完璧」なのです。

繰り返しますが、完璧の形も理想の形も個人によって異なりますし、すべてにおいて完璧な人なんて存在しません。そういったなかで、YKさんにとってすべてにおいて完璧を他人に求めることに無理があるのです。

そうは言ってもまだ20代前半ですから、尊敬できる人を見つけ、お手本にしたいという気持ちはわかります。ただ、1人の対象にすべてを求めるのではなく、個々の分野におけるベスト、個々の分野における一流を見つけ、分野ごとに目指す対象を決めるというのが現実的でしょう。

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