「尊敬する人」探しが自分の成長につながらない訳 どんな人からも学べるようになることが重要

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そのうえで申し上げますと、本当の意味でお手本にしたいのであれば、その対象となる分野はできる限り細分化することです。

例えば、「仕事」という大きなくくりで考えてしまうと、お手本とする対象が見つからなくなってしまったり、漠然としすぎていて何からまねればよいかわからなくなってしまったり、ということになりかねません。

逆に、プレゼンがうまい人、エクセルの達人、英語のプロ、法人向け営業の第一人者など、できる限り細分化したうえで、その分野の自分の周りにおける一流を探し、「その分野において」そのヒトの「その部分」を尊敬し、まねする。そうすることで、少なくともその分野においては、人を尊敬することができるようになります。

さらに、その分野でその人に追いつき、追い越したと感じたら、新たに尊敬できる人見つける――。と繰り返していくことで、「他人のよい部分を見て自分も成長できる」ようになります。

少なくとも、「尊敬できる人がいない」と言って、いつまでもくすぶっているよりも、行動に移せるという意味においても有益でしょう。恐らく、そうすることでYKさんも今以上に他人を尊敬できるようになったり、他人の生き方を認め、他人を受け入れることができるようになったりすると思います。

どんな人からも学べる人は成長できる

ロールモデルとなる対象を1人に求めると、尊敬できる人がいないとなってしまう。それではいつまでたっても人を見る目を養えませんし、何よりもよい人間関係を築くチャンスを逃すことになってしまいます。大小問わず、どんなシチュエーションからも、どんな人からも学ぶことのできる人が、本当に成長できる人です。

相手のよい部分と悪い部分を見極め、どの部分なら学べるか、どの部分であれば尊敬できるかなどを考えるスタンスを持っていれば、それは可能です。過度な完璧を他人に求めすぎたり、自分に求めすぎたりするとロクなことはありません。

完璧な人間は存在しません。存在するのは、完璧でないことを理解したうえで、自分にとっての理想を目指し、奮闘する人間であり、生き様です。

そのようなスタンスでYKさんが人間の本質を知り、ご自身と他人を愛し、受け入れるような、心の広い大人に成長されるであろうことを応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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