学歴による給料の差は今に始まったことではありません。むしろ戦前のほうが、格差は大きかったと言えます。例えば、夏目漱石は作家になる前学校の教員をしていましたが、帝国大学出身ということで月給は80円と、校長の60円より高額でした。通常の教員は20~30円程度です(明治28年)。
同時期の、巡査の月給は20円程度。住み込みの下男の月給は1円60銭程度でした。帝大卒の漱石と学のなかった下男との月給格差は約50倍もあったのです(※当時の1円は現在の価値にすると大体1万円で換算できる)。
余談ですが、そのころの日本一の長者は岩崎弥太郎の息子の岩崎久弥で、現代の価値にして年収69億円ともいわれています。それくらい明治の日本は貧富の格差が大きかったといえます。
親の所得が子の結婚に影響!?
そこまでの格差ではないにしろ、大卒と高卒以下とでは確実に年収格差が継続してきました。それでも、昭和の高度成長期のように、高卒であっても真面目に勤め上げれば中間層としての年収が保障されていた頃は、まだ将来の安心もあったし、結婚にも踏み切れたでしょう。
しかし、現代は、ただでさえ給料が上がらないのに加えて、知らないうちに税金や社会保障費がじわじわ上げられて、可処分所得は減り続けているという状態です。実は、そうした非消費支出のステルス値上げの被害をいちばん受けているのが、若い独身男女なのです。給料の絶対額が少ない高卒者にしたら泣きたくもなるでしょう。
本人の学歴によって将来の所得格差が生まれてしまうことは間違いのない現実ですが、実は、残酷なのは、生まれた両親の所得状況によって子どもの学歴はある程度決定づけられているという現実です。
親の所得と子の学歴は相関します。いい大学に行ける子は親が裕福だから行けるのです。本人の学力や努力だけの問題ではありません。どんなに優秀で医学部に行きたいと子が願っても、その学費を払う能力のない家の子は進学することは不可能です。
そして、さらにいえば、親の所得は子の結婚にも影響します。
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